A
小売業者は,生産者の商品と消費者のニーズを結びつけ,取引を促進する役割をはたす.小売業者の経済活動を,以下に考察しよう.
小売業者 A は,ある商品について,単位当りの買取価格を 円に設定して, 生産者Bの供給 単位を購入する.さらに,小売業者 A は,一単位当りの販売価格を 円に設定して,消費者 C の需要 単位の買い注文を受ける.,,, は正の実数とする.
単位を供給する際,生産者Bには生産コスト 円が発生する.生産者B は,一単位当り 円で 単位を売却することで得られる利潤 円を最大にするように を決定する.生産コストは
であるとする. は正の実数である.
消費者Cは,D単位を消費することによって,金銭に換算して 円に相当する満足を得ることができ, 円を最大にするように を決定する.消費者 C の満足は
であるとする. は正の実数である.
(A-1) 生産者Bが決定する を と を用いて表せ.
(A-2) 消費者Cが決定する を と を用いて表せ.
(A-3) 小売業者 A は と を直接知ることはできないが,過去のデータからこれらを推定できることがある.仮に以下の二つのデータが得られた場合,それから推定される と を求めよ.
データ1: 価格を , に設定した際,超過需要 単位が発生した.
すなわち になった.
データ2:価格を, に設定した際,超過供給 単位が発生した.
すなわち になった.
(A-4) 小売業者 A は と を一意的に推定するのに十分なデータを入手できるとは限らない.小売業者 A は,設問(A-3)における二つのデータではなく,実際には以下のデータのみが入手できた.
データ3:価格を , に設定した際,供給と需要が一致した.すなわち になった.
小売業者 A は,販売収入 と買取支出 の差額として得られる利益 円をできるだけ大きくしたいと考えている.その際,需要 Dが供給を上回らないように と を設定するものとする.データ3を用いて,小売業者 A が設定する と を求めよ.
2021.02.15記