[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2024年(令和6年)東京工業大学-数学[5]

2024.04.16記

[5] 整数の組 (a,b) に対して 2 次式 f(x)=x^2+ax+b を考える.方程式 f(x)=0複素数の範囲のすべての解 \alpha に対して \alpha^n=1 となる正の整数 n が存在するような組 (a,b) をすべて求めよ.

2024.04.16記(18:47:17)
大数1988年1月号の宿題2番

整数を成分とする適当な2次の正方行列 A をとれば,
A^n=E
A^k\neq Ek=1,2,…,n-1
となるような2以上の整数 n を求めよ.

を思い出してしまった.

[解答]
(i) f(x)=0 の解が実数解しか持たないとき,その解は 1 で重解,-1 で重解, 1,-1 の2解の3通りで (a,b)=(-2,1),(2,1),(0,-1) となる.

(ii) f(x)=0 の解が共役複素数のとき,|\alpha|^n=1 より |\alpha|=1 だから \alpha=\cos\theta+i\sin\theta\sin\theta\neq 0) とおくことができる.
このとき,
a=-2\cos\theta\sin\theta\neq 0
であるから,-2\lt a\lt 2 となり,また b=1 である.

(a,b)=(1,1) のとき,x^2+x+1=0 の解は x^3-1=(x-1)(x^2-x+1)=0,つまり x^3=1 を満たすので題意を満たす.

(a,b)=(0,1) のとき,x^2+1=0 の解は x^4-1=(x^2-1)(x^2+1)=0,つまり x^4=1 を満たすので題意を満たす.

(a,b)=(1,1) のとき,x^2-x+1=0 の解は x^6-1=(x^3-1)(x-1)(x^2-x+1)=0,つまり x^6=1 を満たすので題意を満たす.

以上より,
(a,b)=(-2,1),(-1,1),(0,-1),(0,1),(1,1),(2,1)
となる.