A
種類の成分 ,…, を混ぜ合わせて製品を作る.この製品に含まれる ,…, の重さの比率のデータを ,…, とする. ,…, は
,,,…,
を満たす実数である.また ,…, の単位重量あたりの価格を ,…, とする.ただし, ,…, は
,,…,
を満たす正の定数である.この製品の単位重量あたりの材料の費用は
で表される.
(A-1) 材料の費用 が最小となるような,,…, の値を求めよ.
(A-2) ,…, も
,,,…,
を満たす実数とする.すべての ,…, に対して
となるとき,それぞれの製品の材料の費用について
が成り立つことを示せ.
(A-3) とし,,
,
が成り立つとする.このとき,材料の費用が最大となるような,,, を求めよ.
B
コンピュータで扱うデータは,2つの数字 0,1 からなる列として表されることが多い.数字 0,1 からなる長さ の列を,送信者 A から受信者 B に転送することを考える.情報を転送する際にノイズが入るために,0が1に,1が0に,それぞれ確率 で入れ替わって伝わる.ここで, は を満たす定数である.
例えば、長さ8の数字の列 01001100 が
11001100
と伝わる確率は,1番目の数字のみが入れ替わっているので, である.また 01001100が
00011100
と伝わる確率は,2番目と4番目の数字が入れ替わっているので, である.
(B-1) 数字0,1からなる長さ の列を1回送るとき,誤って伝わる数字の個数が偶数個である確率を とおく.ただし,誤りがない場合は0個の誤りがあったと考える. を と を用いて表せ.
(B-2) を と を用いて表せ.
データが誤って伝わる確率を小さくするために,データを表す 0,1 からなる 個の数字の列の後に,データの中に1が奇数個あるときは1を,偶数個あるときは 0を付け加えて,全部で 個の数字の列をAからBに送る.この末尾に付け加える数字をパリティビットとよぶ.受信者Bは,パリティビットが,受け取っ たデータの 個の数字の中の1の個数と合っていれば,情報が正しく送られたと判断してそのまま情報を受け取る.合っていなければ,情報が誤って送られたと判断して,A に再度同じ情報,つまり7個の数字の列とパリティビットを送ってもらう.この手続きを,受信者Bが,正しくデータを受信できたと判断するまで繰り返す.ただし,パリティビットも,他の 個の数字と同様に確率 で入れ替わって伝わる.
(B-3) 送信者 A が, 個の数字からなるデータとパリティビットを合わせて 個の数字からなる列を1回目に送るとき,受信者Bが A に再送を要求する確率を と を用いて表せ.
(B-4) Bがデータを正しく受信したと判断して通信が終了するまでに,A が送信する数字の個数の期待値を と を用いて表せ.
[2] 時間によって移動する点の動きなど,連続的に変化する現象を調べるときには,現象を表す関数の値を数列によって近似して,離散的なモデルを考えることができる.これらを対照して考察することや,連続的な現象を離散的なモデルの極限としてとらえることは,しばしば有効である.
A
数列 に対して,, とおく.数列 は
,
を満たすとする.また とする.
(A-1) について, が成立することを示せ.
(A-2) すべての自然数 n について, を示せ.
(A-3) となることを示せ.
数直線上を運動する点 の座標を時間 の関数として で表す,ただし, とする.点 の速度 について が成立するとする.また,, とする.ここで は微 分可能な関数であるとする.
(A-4) 不等式 が成り立つことを示せ.
(A-5) を示せ.ただし, は自然対数を表す.
B
図 2-1 のように,ひもの一方の端点を水平面に垂直な壁に固定し,もう一方の端点を壁とひものなす角が直角になるように手で持つ.このとき,手で持つ位置と壁の距離がどれくらいになるかを,次のように考察してみよう.
図2-2のように,質量が のおもりを,いくつか等間隔にひもでつなぎ,その一方の端を壁に固定して,他方の端を手で支える.ただし,それぞれのひもはまっすぐで,壁に固定されているひもは壁に垂直であるとする.となり合うおもりの間隔は として,おもりの大きさとひもの太さ,およびひもの重さは無視することにする.壁の側から順番に,ひもを とし,それらのひもの張力の大きさを,それぞれ とする.また,ひも が水平方向となす角度を とする.ここで, とおく.重力加速度を とする.
図2-1 (略)
図2-2 (略)
図2-3は,ひも と でつながれているおもりにかかる力がつり合ってい ることを表す.ここで は,それぞれひも , の張力としておもりにかかる力のベクトル, はおもりにかかる重力のベクトルを表す.
図2-3 (略)
(B-1) ベクトル ,, の大きさは,それぞれ ,, であることをふまえて,これらのベクトルの成分表示を ,,,,, を用いて与えよ.
おもりにかかる力のつり合いの条件より,ベクトル ,, の和は零ベクトルである.
(B-2) と の関係を ,, を用いて表せ.
(B-3) を ,,, を用いて表せ.
おもりの質量の和 と,ひもの長さの和 を固定する.おもりの個数を 個とすると,
, となる.このとき,ひもを手で支える位置と壁の距離を とおく.図2-1 のように,質量が で長さが のひもの一方の端点を壁に固定して,もう一方の端点を手で持ち,壁とひものなす角が直角になるようにする.このとき,手で持つ位置と壁の距離は,極限値 で表されると考えられる.
(B-5) 上の極限値 を を用いて表せ.
2009年(平成21年)東京大学後期-総合科目II[1]A - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
2009年(平成21年)東京大学後期-総合科目II[1]B - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
2009年(平成21年)東京大学後期-総合科目II[2]A - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
2009年(平成21年)東京大学後期-総合科目II[2]B - [別館]球面倶楽部零八式markIISR