[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2024年(令和6年)東京工業大学-数学[3]

2024.03.21記

[3] xy 平面上に,点 \mbox{A}(a,0)\mbox{B}(0,b)\mbox{C}(-a,0) (ただし 0\lt a\lt b) をとる.点 \mbox{A}\mbox{B} を通る直線を \ell とし,点 \mbox{C} を通り線分 \mbox{BC} に垂直な直線をk とする.さらに,点 \mbox{A} を通り y 軸に平行な直線と直線 k との交点を \mbox{C}_1 とし,点 \mbox{C}_1 を通り x 軸に平行な直線と直線 \ell との交点を \mbox{A}_1 とする. 以下, n=1,2,3,\ldots に対して, 点 \mbox{A}_n を通り y 軸に平行な直線と直線 k との交点を \mbox{C}_{n+1},点 \mbox{C}_{n+1} を通り x 軸に平行な直線と直線 \ell との交点を \mbox{A}_{n+1} とする.

(1) 点 \mbox{A}_{n}\mbox{C}_{n} の座標を求めよ.

(2) \triangle\mbox{CBA}_n の面積 S_n を求めよ.

(3) \displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{\mbox{BA}_n}{\mbox{BC}} を求めよ.

本問のテーマ
ピタゴラスの定理の2023年に示された新証明

2024.03.21記
2024年(令和6年)立命館大学2月2日-理系数学[2]
2024年(令和6年)立命館大学2月2日-理系数学[2] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR

と同じく、ピタゴラスの定理の2023年に示された新証明
gigazine.net
を説明した問題である.

\mbox{D}(-a-b,a) とおくと,(3) と同様にして
\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{\mbox{CC}_n}{\mbox{BC}}=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{\mbox{CC}_n}{\mbox{DC}}=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{\mbox{C}_nのx座標+a}{b}=\dfrac{\dfrac{a(a^2+b^2)}{b^2-a^2}+a}{b}=\dfrac{2ab}{b^2-a^2}
が成立するので,直線 lk の交点を \mbox{E} とおくと,(3)から
\mbox{BE}:\mbox{BC}=(a^2+b^2):(b^2-a^2)
となり,先程の式から
\mbox{BC}:\mbox{EC}=(b^2-a^2):2ab
となるので,
\mbox{BE}:\mbox{BC}:\mbox{EC}=(a^2+b^2):(b^2-a^2):2ab
が成立する.よって
\mbox{BE}^2=\mbox{BC}^2+\mbox{EC}^2
が成立する,つまりピタゴラスの定理が成り立つ.