[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2014年(平成26年)東京大学前期-数学(理科)[2]

2020.10.22記
チェザロ平均

(3) の答は \displaystyle\lim_{n\to\infty} p_n に一致する.

[大人の解答]

(1) p_1=\dfrac{1}{a+3}p_2=\dfrac{a+2}{(a+1)(a+3)}

(2) p_n=\dfrac{1-p_{n-1}}{a+1} を解いて p_n=\dfrac{1}{a+2}-\dfrac{1}{(a+3)(a+2)}\Bigl(-\dfrac{1}{a+2}\Bigr)^{n-1}

(3) \displaystyle\lim_{n\to\infty} p_n=\dfrac{1}{a+2} により,チェザロ平均も同じ値に収束するので\displaystyle\lim_{m\to\infty} \dfrac{1}{m}\sum_{n=1}^m p_n=\dfrac{1}{a+2}


2022.03.07記

[解答]

(1) p_1=\dfrac{1}{a+3} である.

p_2 について,白赤と出る確率は \dfrac{a+2}{a+3}\cdot\dfrac{1}{a+1} であり,赤赤と出ることはないので p_2=\dfrac{a+2}{(a+1)(a+3)} である.

(2) 赤赤と連続して出ることはないので,n+1 回目に赤が出るためには n 回目は白でなければならないので
p_{n+1}=\dfrac{1}{a+1}(1-p_n)
が成立する.よって
p_n=\dfrac{(-1)^{n-1}}{(a+1)^{n-1}}\left(p_1-\dfrac{1}{a+2}\right)+\dfrac{1}{a+2}
=\dfrac{(-1)^{n-1}}{(a+1)^{n-1}(a+2)(a+3)}+\dfrac{1}{a+2}

(3) q_n=\dfrac{(-1)^{n-1}}{(a+1)^{n-1}} とおくと
p_n=\dfrac{1}{(a+2)(a+3)}q_n+\dfrac{1}{a+2}
である.ここで等比数列 q_na\geqq 1 より,公比の絶対値が1未満であるから,
\displaystyle\lim_{m\to\infty}\sum_{n=1}^m q_n
は収束するので
\displaystyle\lim_{m\to\infty}\dfrac{1}{m}\sum_{n=1}^m q_n=0
である.
よって\displaystyle\lim_{m\to\infty}\dfrac{1}{m}\sum_{n=1}^m p_n=\dfrac{1}{a+2}
となる.