B
コンピュータで扱うデータは,2つの数字 0,1 からなる列として表されることが多い.数字 0,1 からなる長さ の列を,送信者 A から受信者 B に転送することを考える.情報を転送する際にノイズが入るために,0が1に,1が0に,それぞれ確率 で入れ替わって伝わる.ここで, は を満たす定数である.
例えば、長さ8の数字の列 01001100 が
11001100
と伝わる確率は,1番目の数字のみが入れ替わっているので, である.また 01001100が
00011100
と伝わる確率は,2番目と4番目の数字が入れ替わっているので, である.
(B-1) 数字0,1からなる長さ の列を1回送るとき,誤って伝わる数字の個数が偶数個である確率を とおく.ただし,誤りがない場合は0個の誤りがあったと考える. を と を用いて表せ.
(B-2) を と を用いて表せ.
データが誤って伝わる確率を小さくするために,データを表す 0,1 からなる 個の数字の列の後に,データの中に1が奇数個あるときは1を,偶数個あるときは 0を付け加えて,全部で 個の数字の列をAからBに送る.この末尾に付け加える数字をパリティビットとよぶ.受信者Bは,パリティビットが,受け取っ たデータの 個の数字の中の1の個数と合っていれば,情報が正しく送られたと判断してそのまま情報を受け取る.合っていなければ,情報が誤って送られたと判断して,A に再度同じ情報,つまり7個の数字の列とパリティビットを送ってもらう.この手続きを,受信者Bが,正しくデータを受信できたと判断するまで繰り返す.ただし,パリティビットも,他の 個の数字と同様に確率 で入れ替わって伝わる.
(B-3) 送信者 A が, 個の数字からなるデータとパリティビットを合わせて 個の数字からなる列を1回目に送るとき,受信者Bが A に再送を要求する確率を と を用いて表せ.
(B-4) Bがデータを正しく受信したと判断して通信が終了するまでに,A が送信する数字の個数の期待値を と を用いて表せ.
2021.02.11記
誤り訂正符号.
(B-1) 最初の で偶数個か奇数個で場合分けして,
(B-2) (B-1)と により となり, となる.
(B-3) データとパリティビットが食い違うのは,奇数個が入れ替わった場合だけであり,そのときに再送を要求するので,求める確率は となる.
(B-4) 成功確率が のときの成功回数の期待値が であり,1回あたり 個の数字を送信するので、求める送信文字数の期待値は となる.