[2] 時間によって移動する点の動きなど,連続的に変化する現象を調べるときには,現象を表す関数の値を数列によって近似して,離散的なモデルを考えることができる.これらを対照して考察することや,連続的な現象を離散的なモデルの極限としてとらえることは,しばしば有効である.
A
数列 に対して,, とおく.数列 は
,
を満たすとする.また とする.
(A-1) について, が成立することを示せ.
(A-2) すべての自然数 n について, を示せ.
(A-3) となることを示せ.
数直線上を運動する点 の座標を時間 の関数として で表す,ただし, とする.点 の速度 について が成立するとする.また,, とする.ここで は微 分可能な関数であるとする.
(A-4) 不等式 が成り立つことを示せ.
(A-5) を示せ.ただし, は自然対数を表す.
2021.02.11記
後半で考えた微分方程式の力学系を前半で差分方程式の力学系で表現している.
[解答]
(A-1) だから, により任意の正の整数に対して だから
(A-2)
(A-3) を から まで加えると
となるが,(A-2) より
であるから,
,つまり が任意の正の整数に対して成立する.よって
(のとき等号が成立するが, では等号が成立しない)
注) なら が成立する.
(A-4) であるから, は単調増加で であるから, となり,
(A-5) であるから,
となり,