[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1923年(大正12年)東京帝國大學工學部-數學[2]

[2] z=f(x+ky) ナル時ハ \dfrac{\partial z}{\partial x}=\dfrac{1}{k}\,\dfrac{\partial z}{\partial y} ナルコトヲ證明シ,併セテ其ノ幾何學的意義ヲ説明セヨ.但シ k は常數トス.

2022.08.15記

[解答]
k\neq 0 とする.

u=x+ky とおくと
\dfrac{\partial z}{\partial x}=\dfrac{\partial f}{\partial u}\cdot \dfrac{\partial u}{\partial x}=\dfrac{\partial f}{\partial u}
\dfrac{\partial z}{\partial y}=\dfrac{\partial f}{\partial u}\cdot \dfrac{\partial u}{\partial y}=\dfrac{\partial f}{\partial u}\cdot k
であるから,
\dfrac{\partial z}{\partial x}=\dfrac{1}{k}\,\dfrac{\partial z}{\partial y}
が成立する.

この幾何学的意味は,曲面 z=f(x+ky) に対して
dz=\dfrac{\partial f}{\partial u}(dx+kdy)
となることから,接平面における x 方向の傾きは y 方向の傾きの \dfrac{1}{k} ということを表しており,また曲面 z=f(x+ky) の等高線(dz=0)は \begin{pmatrix} k \\ -1 \end{pmatrix} 方向であるということを意味している.