[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1923年(大正12年)東京帝國大學工學部-數學[1]

[1] 斜交軸ニ關シ原點ヲ變ゼズシテ座標軸ヲ轉換スル一般ノ置換ヘ X=mx+nyY=m'x+n'y ニ於テ \dfrac{m^2+m'{}^2-1}{n^2+n'{}^2-1}=\dfrac{mm'}{nn'} ナル關係アルコトヲ示セ.

2022.08.15記
「座標軸を変換する」の意味が曖昧であるが,証明すべきことから「長さを変えない座標変換」と考えることにする.つまり,

[1] 斜交座標における原点を変えない変換X=mx+nyY=m'x+n'y が長さを変えない変換のとき\dfrac{m^2+m'{}^2-1}{n^2+n'{}^2-1}=\dfrac{mm'}{nn'} なる関係があることを示せ.

を解くことにする.

[解答]
x 軸と y 軸のなす角度を \alphaX 軸と Y 軸のなす角度を \beta とするとき,与えられた変換が長さを変えないことから
x^2+y^2-2xy\cos\alpha=X^2+Y^2-2XY\cos\beta
=(mx+ny)^2+(m'x+n'y)^2-2(mx+ny)(m'x+n'y)\cos\beta
=(m^2+m'{}^2-2mm'\cos\beta)x^2+(n^2+n'{}^2-2nn'\cos\beta)y^2
+2\{mn+m'n'-(mn'+m'n)\cos\beta\}xy
が任意の x,y について成立する.

よって
=m^2+m'{}^2-2mm'\cos\beta=n^2+n'{}^2-2nn'\cos\beta=1
mn+m'n'-(mn'+m'n)\cos\beta=-\cos\alpha
であり,前者から
\cos\beta=\dfrac{m^2+m'{}^2-1}{2mm'}=\dfrac{n^2+n'{}^2-1}{2nn'}
となり,斜交座標であるから \cos\beta\neq 0 となるので n^2+n'{}^2-1\neq 0 だから,
\dfrac{m^2+m'{}^2-1}{n^2+n'{}^2-1}=\dfrac{mm'}{nn'}
が成立する.

■ もちろん,\dfrac{m^2+m'{}^2-1}{n^2+n'{}^2-1}=\dfrac{mm'}{nn'} は必要条件である.