[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1935年(昭和10年)東京帝國大學理學部-數學[2]

[2] 中心 \rm O なる定円に於て定点 \rm P を過る弦 \rm AB を引くとき三角形 \rm AOB の面積の極大値及び極小値如何.

2019.04.04記
最大、最小ではなく極大、極小を求めることに注意。

[解答]
円をx^2+y^2=1としP(0,p)p\gt 0)とする。A(x_1,y_1),B(x_2,y_2)x_1\lt x_2)とおくと、 \triangle AOB=\dfrac{1}{2}p(x_2-x_1) である。
直線ABの式をy=mx+pとおくと、x_1,x_22次方程式x^2+(mx+p)^2-1=(m^2+1)x^2+2mpx+p^2-1=0の2解である。
よって(x_2-x_1)^2=\dfrac{4(m^2-p^2+1)}{(m^2+1)^2}となる。

f(m)=\dfrac{m^2-p^2+1}{(m^2+1)^2}とおくと、f'(m)=\dfrac{2m(2p^2-m^2-1)}{(m^2+1)^3}であるから、
f'(m)=0となるのはm=0,\pm\sqrt{2p^2-1}である(後者はp\geqq \dfrac{1}{\sqrt{2}}のときのみ)

よって、

p=0のとき、三角形の面積は定数0により、極大、極小はない。

0\lt p\leqq \dfrac{1}{\sqrt{2}}のとき、極大はm=0のときのp\sqrt{1-p^2}で極小はm=\inftyのときの0

\dfrac{1}{\sqrt{2}}\lt p\leqq 1のとき、極大はm=\pm\sqrt{2p^2-1}のときの\dfrac{1}{2}、極小はm=0のときのp\sqrt{1-p^2}及びm=\inftyのときの0

p\gt 1のとき、極大はm=\pm\sqrt{2p^2-1}のときの\dfrac{1}{2}、極小はm=\inftyのときの0

となる。なお、p\gt 1のとき、mの定義域は、m\leqq -\sqrt{p^2-1},\sqrt{p^2-1}\leqq mとなり、定義域の端点で最小値0をとるが、一般には極大極小は定義域の内点で考えるので、極小ではない。