[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1935年(昭和10年)東京帝國大學理學部-數學[1]

[1] F(x)=\cos x+2\cos2 x+3\cos 3 x+\cdots + n\cos nx なるとき \displaystyle\int_{0}^{x}F(t)dt を計算し,依ってF(x)を索めよ.

2019.04.04記

[解答]
G(x)=\displaystyle\int_{0}^{x}F(t)dt とおくと G(x)=\sin x+\sin 2x+\cdots +\sin nx である.
2 \sin \dfrac{x}{2} \sin kx =\cos\dfrac{2k-1}{2}x-\cos\dfrac{2k+1}{2}x であるから,
 2 \sin \dfrac{x}{2} G(x)=\cos\dfrac{1}{2}x-\cos\dfrac{2n+1}{2}xとなり, G(x)=\dfrac{\cos\dfrac{1}{2}x-\cos\dfrac{2n+1}{2}x}{\sin \dfrac{x}{2}}
これを x微分して積和の公式などを用いると
F(x)=\dfrac{(n+1)\cos nx-n\cos(n+1)x-1}{2(1-\cos x)}
となる.