[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2019年(平成31年)東京大学-数学(理科)[2]

2024.02.26記

[2] 一辺の長さが1の正方形 \mbox{ABCD} を考える.3点 \mbox{P,Q,R} はそれぞれ辺 \mbox{AB,AD,CD} 上にあり,3点 \mbox{A,P,Q} および3点 \mbox{P,Q,R} はどちらも面積が \dfrac{1}{3} の三角形の3頂点であるとする.\dfrac{\mbox{DR}}{\mbox{AQ}} の最大値,最小値を求めよ.

2024.02.26記

[解答]
\mbox{AP}=p,\mbox{AQ}=q,\mbox{DR}=x とおくと,条件は pq=\dfrac{2}{3}(1-q)x+(2-p-x)=\dfrac{2}{3} となり,整理して pq=\dfrac{2}{3},p+qx=\dfrac{4}{3} となる.

q を消去して p^2-\dfrac{4}{3}p=-\dfrac{2}{3}x であるから
\dfrac{\mbox{DR}}{\mbox{AQ}}=\dfrac{x}{q}=\dfrac{9}{4}p^2\left(\dfrac{4}{3}-p\right)=:f(p)
となる.

ここで
pq=\dfrac{2}{3} かつ q\leqq 1 より p\geqq \dfrac{2}{3}
であるから \dfrac{2}{3}\leqq p\leqq 1 が必要で,このとき
\mbox{DR}=p\left(\dfrac{4}{3}-p\right)\gt 0
が成立するので確かに題意をみたす \triangle\mbox{APQ}\triangle\mbox{PQR} が存在できるので十分.

よって \dfrac{2}{3}\leqq p\leqq 1 における f(p) の最大,最小を求めれば良い.

3次関数の形状を考えることにより,f(p)p=\dfrac{8}{9} で最大となり,f\left(\dfrac{8}{9}\right)=\dfrac{64}{81} となる.
最小値は
f\left(\dfrac{2}{3}\right)=\dfrac{2}{3}f(1)=\dfrac{3}{4} の小さい方だから f\left(\dfrac{2}{3}\right)=\dfrac{2}{3} である.

最大値だけなら,AM-GM 不等式から
f(p)=9\cdot\dfrac{p}{2}\cdot\dfrac{p}{2}\cdot\left(\dfrac{4}{3}-p\right)\leq 9\cdot\dfrac{1}{27}\left\{\dfrac{p}{2}+\dfrac{p}{2}+\left(\dfrac{4}{3}-p\right)\right\}^3=\dfrac{64}{81}
(等号成立は\dfrac{p}{2}=\left(\dfrac{4}{3}-p\right)よりp=\dfrac{8}{9}のとき)
と求まる.

なお,上記の \dfrac{2}{3}\leqq p\leqq 1 を求めるのには,厳密には 0\lt p,q,r\leq 1 の3つの条件から求めるべきだが,\triangle\mbox{ APQ} の辺の長さだけに言及した場合、どの程度減点されるかは受験者の分布によると思われる。