ただし,空間の点 を通って に垂直な直線が と交わる点を の 上への正射影といい,空間図形 の各点の 上への正射影全体のつくる 上の図形を の 上への正射影という.
2019.02.22記
東大京大ダブル合格が可能だった2年のうちの後の年。京大はA日程、東大はB日程だった。
この問題の解答で、カヴァリエリの原理を使って解く方法が有名だけど、この解法を一番最初にみたのは、河合塾の解答速報だった。なお、当時はインターネットが一般には普及していなかったので、数週間後に紙で印刷された冊子で紹介されていた。あれには感動した。
(2023.08.29記 数週間後に紙で印刷されたA5版の青い冊子が配られたのは正しいが、カヴァリエリの原理を使った解法はそれより前に河合塾に行ったときに張り出されていた解答だったという記憶が発掘された。現在もそうなのかも知れないが、河合塾にしろ駿台にしろ関東と関西ではやや独立した存在だったので、東大の解答速報を出す関東の先生は関西の解答を見ていないことは十分にありうる気がしてきた)
一辺の長さが1の正4面体の体積は、一辺の長さがの立方体の体積のであり、正4面体の に垂直な方向の幅をとすると、であるから、となる。ここでの最大値は1、最小値はであるから、である。
2020.02.28記
トリッキーでない解法を示しておく。少し直感的であるのは否めない。
正四面体を真上から見ることにより,ある面を別の面に正射影すると面積が1/3になることがわかる。よって正四面体の各面の単位法線ベクトルを外向きに選ぶと、その任意の2つのベクトルの内積はとなる。
その2個をとして良い。このとき
であるから、2つの単位法線ベクトルの差の長さはである。
正四面体の4頂点をA,B,C,Dとし、三角形ABCのなす面の単位法線ベクトルを四面体の外向きに選んだものをのように残りの頂点名の小文字を利用して表現する。
平面 へA,B,C,Dを正射影した点をのように表すと、
となる。
の単位法線ベクトルをとし、四面体をなす正三角形の面積をとすると、
などから、
となる。ここでに注意しておく。
(i) 4つの法線ベクトルのうちに対してと同じ側のものが1個または3個のとき
必要に応じてを逆向きにとれば良いので、1個であるとして良く、それをとして良い。このとき
となり、正射影した図形は三角形である。
この場合の最大値は、とが平行なときでである。
最小値はとのなす角が最大となるとき、つまり以外の3つのうち2つがと平行になるときであり、
の向きの長さが単位法線ベクトルの差の長さの半分となるときであるから、
のときでありである。
(ii) 4つの法線ベクトルのうちに対してと同じ側のものが2個のとき
その2個をとして良い。このときとすると、
となり、正射影した図形は一般に四角形であり、の長さは
によりである。
この場合の最大値はとが平行なときでである。
最小値を考えるためにとのなす角を大きくすると、のどちらががと平行になるが、このとき4点の凸包は三角形となり、(i)に含まれるため、最小値を与える図形は四角形の中にはない。
以上からである。
2020.03.22記
で、本問のカバリエリの原理による解法は、学生と東大の H 川先生との話を、当時 SEG の小島さんが大数に書いたものを初出のような書き方をしている。H 川先生とのやりとりの話は当時聞いたので事実だと思うが、カバリエリの原理の解法は 1988年3月に出版された河合塾の解答速報の冊子の方が速い。でも河合塾の解答速報(A5版の青い本)は受験生にあげたので、現物が手元にないのが悔やまれる。30年以上前なので記憶違いをしている可能性も否定できないからだ。
(2023.08.29記 数週間後に紙で印刷されたA5版の青い冊子が配られたのは正しいが、カヴァリエリの原理を使った解法はそれより前に河合塾に行ったときに張り出されていた解答だったという記憶が発掘された。現在もそうなのかも知れないが、河合塾にしろ駿台にしろ関東と関西ではやや独立した存在だったので、東大の解答速報を出す関東の先生は関西の解答を見ていないことは十分にありうる気がしてきた)
2020.09.23記
河合出版の東大72年買ってみてみたけど、本文の解答は普通のやつで、別解とか書いてなかった。河合塾の解答速報でカバリエリの原理の解法があったのだから載せとけばいいのに。
2020.12.14記
東京出版の東大・入試数学50年の軌跡だと、安田亨さんの説をとって小島さんが大数に書いたものを初出と考えているようだ。ただ、私は小島さんがその話をする前からカバリエリの原理の解法を知っていたので、小島さんが学生とその解法を思いついて感動したこと、商業誌では初出というのは、おそらくその通りだと思うが、彼ら以外誰も思いつかなかった、というのは、そうではなくて、世の中には鋭い人が沢山いるのだなぁ、という話。
2022.06.06記
懐しい解答をみつけた。以下の「同志」は原文ママ。出典の細かい状況は忘れた。
正四面体の正射影が三角形か四角形かによって場合に分ける。
1)三角形の場合。一つの頂点の正射影が正四国体の正射影の中にある。この頂点から正四面体のこの頂点を含まない正三角形の面への垂線を考える。この垂線の正射影の長さと、この正三角形の面の正射影の面積は、一方が増加すれば他方が減少するという関係にある。角の正接を考えれば垂線の長さは一定であるから、 正射影の面積が最大になるのは垂線の正射影が1点になるときで、正三角形となり、面積は。最小になるのは垂線の端点の正射影三角形の頂点に一致するとき、つまり正四面体の一つの稜の正射影が1点になるときである。正四面体のねじれの位置にある2稜の中点同志を結ぶ線分の長さは で、正射影が1点になる稜とこの線分およびねじれの位置にある稜は垂直なので、最小値は 。
2) 四角形の場合。この場合ねじれの位置にある2稜の正射影が交わっている。一方の稜をこれら2稜の中点同志を結ぶ線分にそって平行移動したものを考え、その端点とこれと垂直に交わる稜の端点できまる正方形を考える。平行な線分の正射影は平行であるから、正四面体の正射影と、この正方形の正射影の面積は等しい。この湯合もこの正方形とこれに垂直な2稜の中点同志を結ぶ線分に着目すればよい。この線分の正射影が1点のとき、面積最大で、正射影は正方形となり、面積 。この線分が射影される面に平行のとき、この場合ねじれの位置にある2稜の正射影は交わっているので、正四面体の正射影は四角形の極限として三角形になる、つまり正射影が四角形なる場合には面積の最小値は存在しない。以上まとめて、
最大値 ,最小値 .
2023.08.29記
河合塾の解答速報のカヴァリエリの原理を使った解法について,数週間後に紙で印刷されたA5版の青い冊子が配られたのは正しいが、カヴァリエリの原理を使った解法はそれより前に河合塾に行ったときに張り出されていた解答だったという記憶が発掘された。現在もそうなのかも知れないが、河合塾にしろ駿台にしろ関東と関西ではやや独立した存在だったので、東大の解答速報を出す関東の先生は関西の解答を見ていないことは十分にありうる気がしてきた.