[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1951年(昭和26年)東京大学-数学(一般数学)[3]

[3] 甲は1万円を年利率7%,半年ごとの複利で利殖し,乙は10万円を年利率3%,1年ごとの複利で利殖するとすれば甲の元利合計はいつ初めて乙の元利合計を超えるか。

(1) \log 1.03=0.0128\log 1.035=0.0149 を使って計算せよ。

(2) この対数の最後の桁は四捨五入したものであることに注意し、その誤差を考えればどの程度のことがいえるか。

2020.03.14記

(1)  n年後には、それぞれの元利合計は、甲は (1.035)^{2n} 円,乙は  10(1.03)^n円である。よって
 2n\log 1.035 > n\log 1.03 +1より、
 n > \dfrac{1}{2\log 1.035-\log 1.03}=\dfrac{1}{0.0170}=58.82\cdotsであるから、59年後となる。

もしかしたら、58年と半年後で超えるかも知れない。
 117\log 1.035 - (58\log 1.03 +1)=1.7433-1.7424 > 0より、58年と半年後に超えることがわかる。

(2)  K=2\log 1.035-\log 1.03 の係数が 2,-1 で絶対値の和が3なので、この項の誤差は  \pm 0.00015だから
 0.01685 < K < 0.01715 となるので、その逆数は、58.3090... から 59.3471... の間になる。よってこの範囲のどの値においても、58年で超えることはなく、58年と半年で超えるのは  K=0.0170、つまり(1)の場合で存在する。  K=0.01685 の場合、59年では超えず、60年では超えていることがわかる。

そこで、59年と半年で必ず超えるかどうかを考える。そのために
 119\log 1.035 - (59\log 1.03 +1)が負となる値が範囲内にあるか考える。
 119\log 1.035 - (59\log 1.03 +1) > 119\times 0.01485-(59\times 0.01285 +1)=1.76715-1.75815 > 0
より、負となることはないので、59年と半年後には必ず超えることがわかる。

以上から、58年と半年、59年、59年と半年のいずれかで超えることがわかる。

あまり利殖のことがわかっていないので、半年複利でも1年単位で計算されるのであれば、59年または60年となる(某問題集の答)