[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1883年(明治16年)東京山林学校-算術

[1] 甲乙丙ノ諸子アリ甲ハ七個ノ桃乙ハ五個丙ハ三個ヲ有セリ而シテ他ノ一子アリ四人ニテ之レヲ食セリ然ルニ他ノ一子ノ父ヨリ返礼トシテ菓子六個ヲ贈リタリト云フ各幾個宛食セシヤ。

[2] 一川アリ甲ハ上流ヨリ下リ乙ハ下流ヨリ上ル而□其距離五百七拾一里ナリ然ルf:id:spherical_harmonics:20190309182705p:plain:w15ハ各幾里ニシテ會スルヤ
但シ速力水流一時間四十五丁甲ハ静水ニ於テハ 十丁乙ハ 九十丁ナリ

[3] 一等官林ノ樹數ヲ算スルニ 六千七百五十七本ハ檜ニシテ其他ハ樅ナリ今檜ノ目通周廻ヲ量ルニ林ノ總樹數二十四分の一は目通六尺周以上九分一ハ目通三尺周以上七分一ハ目通一尺周以上六分一ハ目通一尺周以下ナリト云フ然ルf:id:spherical_harmonics:20190309182705p:plain:w15ハ大小檜ノ數各如何ナルヤ

2020.03.10記

明治16年9月施行

本校入學ヲ許スヘキモノハ華士族平民ヲ問ハズ左ノ諸項ニ合格スル者タルベシ。
(以下はあとで)

東京山林學校は1886年7月に駒場農学校と合併し東京農林学校になり、帝國大學農科大學を経て現在の東大農学部に至る(一部は筑波大学東京農工大)

[1] 甲、乙、丙がおり、甲は7個、乙は5個、丙は3個の桃をもっている。他の子と4人でこれを食べたところ、他の子の父より返礼として菓子を6個もらったという。各々何個食べたか。

って解けるのか? 桃3個、菓子1個の人が3人いて、桃4個、菓子3個の人が1人いるとか??親から返礼があるということは、4人で3個ずつ食べて余った桃を他の子の父にあげたのでお礼にお菓子をもらったというような話なのか?

[2] 一つの川があり、甲は上流から下り、乙は下流から上る。そしてその距離は571里である。このときそれぞれ何里のところで出会うか。但し速度について、水流は一時間に45丁、甲は静水においては10丁、乙は90丁である。

「而□」の「□」は「ノ」のように見えるが、不明。「而ノ」は「なんじの」と読むと思われる。

相対速度は毎時100丁だから出会うまで5.71時間かかる。よって出会うのは甲の出発点から下流に314.05丁のところ。

[3] 一等官林の樹の数を算出すると6757本は檜であり他は樅である。今、檜ノ目通り幹囲を量ると、林の総樹数の\dfrac{1}{24}は目通六尺周以上、\dfrac{1}{9}は目通三尺周以上、\dfrac{1}{7}は目通一尺周以上、\dfrac{1}{6}は目通一尺周以下だという。このとき檜の数はいくつか?

「樅」は「もみ」と呼ぶ。もみの木のこと。
「目通周廻」とは立木の目の高さにある部分の周囲の長さで「目通り幹囲」のことと思われる。

\dfrac{1}{24}+\dfrac{1}{9}+\dfrac{1}{7}+\dfrac{1}{6}=\dfrac{21+56+72+84}{504}=\dfrac{233}{504}である。
6757÷233=29により、目通六尺周以上は609本、目通三尺周以上は1624本、目通一尺周以上は2088本、目通一尺周以下は2436本となる。