[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1954年(昭和29年)東京大学-数学(一般数学)[3]

[3] 右の図はある位置におかれた立方体の平面図である.\rm ABCDEF は正六角形で辺 \rm BC\rm EF は基線 l に垂直である.
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(i) この立方体の立面図をえがけ.

(ii) \rm AB の図上の長さが a ならば,稜と対角線の実長はそれぞれいくらか.

2020..10.13記
平面図は正6角形となっており、その中心に対応する頂点を \rm G,H とし,\rm H が手前(平面図だから上)とすると,この立方体は例えば \rm AHEF-BCDG のように書ける.

ここで,l に平行な \rm BF は実長であり,本来その長さの \dfrac{1}{\sqrt{2}}倍であるはずの \rm BC が平面図では \rm BF の長さの \dfrac{1}{\sqrt{3}} 倍で描かれているので、線分 \rm BC は実長の \dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}} 倍で描かれていることがわかり,その長さが a であるから,立方体の稜の実長は \dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}a となる.そして対角線の実長はその \sqrt{3} 倍の \dfrac{3}{\sqrt{2}}a となる.

さて,平面図について考察しよう.平面図で線分 \rm BC は実長の \dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}} 倍で描かれているので、ピタゴラスの定理から,立面図では実長の \dfrac{1}{\sqrt{3}} 倍で描かれる.つまり立面図における \rm BC の描かれる長さは、平面図で描かれる長さの \dfrac{1}{\sqrt{2}} 倍となる.

また、対角線によっ
て残りの頂点は高さが 3等分されるところに位置するので,次図のようになる.
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