[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1978年(昭和53年)東京大学-数学(理科)[3]

2020.10.14記

[3] C を放物線 y=\dfrac{3}{2}x^2-\dfrac{1}{3} とする.C 上の点 {\rm Q}\Bigl(t,\dfrac{3}{2}t^2-\dfrac{1}{3}\Bigr) を通り,\rm Q における C の接線と垂直な直線を,\rm Q における C の法線という.

(1) xy 平面上の点 {\rm P}(x,y)\rm P を通る C の法線が一本だけ引けるようなものの存在範囲を求め,xy 平面上に図示せよ.

(2) (1)で求めた範囲と放物線の内部(不等式 y\gt \dfrac{3}{2}x^2-\dfrac{1}{3} の定める範囲)の共通部分の面積を求めよ.

本問のテーマ
包絡線
放物線の縮閉線

2020.10.10記
縮閉線は法線の包絡線から得られる.

[大人の解答]
\rm Q における法線の方程式  2x+6ty-9t^3=0t偏微分して  2y=9 t^2y\geqq 0)を得るので、
 t=\pm\dfrac{\sqrt{2y}}{3} となり,法線の式と連立させて法線の包絡線である縮閉線の方程式  x\pm \dfrac{2\sqrt{2}y^{3/2}}{3}=0 を得る.

法線の動きを追跡することにより、この曲線の下側が求める範囲となる.

面積は \dfrac{88\sqrt{2}}{135} となる.

2020.10.12記
本問のテーマは「アポロニウスの最大最小問題」
アポロニウスの最大最小問題 - 球面倶楽部 零八式 mark II

参考問題
2020年(令和2年)東京大学-数学(理科)[6] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR

2020.10.14記
アポロニウスの最大最小問題と縮閉線 - 球面倶楽部 零八式 mark II

2023.08.18記

[解答]
\rm Q における法線の方程式は  2x+6ty-9t^3=0 となる.

この t についての3次方程式が実数解をただ1つだけもつ条件を求めれば良い.
ここで f(t)=9t^3-6yt-2x とおくと,その必要十分条件

(i) s=f(t)極値をもたない
(ii) s=f(t) が極大値と極小値をもつがそれらは同符号

のいずれかが成立することである.

f'(t)=3(9t^2-2y) であるから,

(i) は y\leqq 0 と同値.

(ii) は y\gt 0 かつ
f\left(-\dfrac{\sqrt{2y}}{3}\right)f\left(\dfrac{\sqrt{2y}}{3}\right)
=4\left(\dfrac{2\sqrt{2}}{3}y^{3/2}-x\right)\left(\dfrac{2\sqrt{2}}{3}y^{3/2}+x\right)
=4\left(\dfrac{8}{9}y^{3}-x^2\right)\gt 0
と同値,つまり 0\lt y\lt \dfrac{\sqrt[3]{9x^2}}{2} と同値.

(i)(ii)を合わせて y\lt \dfrac{\sqrt[3]{9x^2}}{2} となり,これを図示して次図を得る.



(2) \dfrac{3/2}{6}\left(\dfrac{4\sqrt{2}}{3}\right)^3-\displaystyle 2\int_0^{1} \dfrac{2\sqrt{2}}{3}y^{3/2}dy
=\dfrac{32\sqrt{2}}{27}-\displaystyle 2\Bigl[ \dfrac{4\sqrt{2}}{15}y^{5/2} \Bigr]_0^{1}
=\dfrac{32\sqrt{2}}{27}-\dfrac{8\sqrt{2}}{15}=\dfrac{88\sqrt{2}}{135}