[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1978年(昭和53年)東京大学-数学(理科)[2]

2023.08.18記

[2] 二つの放物線 y=x^2-2x+2 ……(1),
y=-x^2+ax+b ……(2) は,
それらの交点の一つ \mbox{P} で,接線が互いに直交しているものとする.このとき,放物線(2)は,ab の値に無関係な一定の点 \mbox{Q} を通ることを証明し,\mbox{Q} の座標を求めよ.

2023.08.18記

y=ax^2+bx+c の頂点以外における法線と軸の交点の y 座標は,頂点の y 座標に \dfrac{1}{2a} を足したものであることが簡単な計算からわかる.

[うまい解答]
x-1=Xy-1=Y とおくと放物線(1)は Y=X^2 となる.

Y=X^2X=\dfrac{k}{2} における接線の傾きは k だから,この点における放物線(2) の接線の傾きは -\dfrac{1}{k} となるので,放物線(2)の軸は \dfrac{k}{2}-\dfrac{1}{2k} となり,頂点の y 座標は \left(\dfrac{k}{2}\right)^2+\left(\dfrac{1}{2k}\right)^2 となる.

よって放物線(2)は
Y=\left(X-\dfrac{k}{2}+\dfrac{1}{2k}\right)^2+\dfrac{k^2}{4}+\dfrac{1}{4k^2}
=-X^2+\left(k-\dfrac{1}{2k}\right)+\dfrac{1}{2}
となり,必ず(X,Y)=\left(0,\dfrac{1}{2}\right) を通る,つまり(x,y)=\left(1,\dfrac{3}{2}\right) を通る.

[解答]
2つの放物線の交点の x 座標を \alpha とおくと,接線が直交することから
(2\alpha-2)(-2\alpha+a)=-1
つまり
4\alpha^2-2(a+2)\alpha+2a-1=0
が成立する.これと交点に関する条件
\alpha^2-2\alpha+2=-\alpha^2+a\alpha+b
から,うまく\alpha が消去できて
2a+2b-5=0
となり,放物線(2)は
y=-x^2+ax+\dfrac{5-2a}{2}=(-x^2+\dfrac{5}{2})+a(x-1)
となる.よって放物線(2)は必ず(x,y)=\left(1,\dfrac{3}{2}\right) を通る.