[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2012年(平成24年)東京大学後期-総合科目II[2]A

[2] 単純な操作を組み合わせて複雑な運動や図形を生み出すプロセスについて考える.

A
図1のように長さ l_1 の剛体の棒 L_1 と長さ l_2 の剛体の棒 L_2 が連結されたロボットアームを考える.L_1 の片方の端は原点 \rm O に固定されていて,他方の端は L_1 の一方の端と関節 {\rm O}' で結ばれている.L_2の他方の端を手先 \rm E と呼ぶことにする.関節 \rm O{\rm O}' にはモーターが組み込まれており,紙面に垂直な軸を中心として回転できるものとする.L_1x 軸となす角度を \theta_1L_2L_2 となす角度を \theta_2 とする.ただし \theta_1\theta_2 は反時計回りを正とする.

図1

(A-1) 手先 \rm E の位置 (x,y)\theta_1\theta_2l_1l_2 を用いて表せ.

(A-2) 手先 \rm E の通過し得る領域を図示せよ.ただし,回転角 \theta_1\theta_2 は独立に自由な値をと
り得るものとする.

(A-3) 手先 \rm E の速度ベクトル \Bigl(\dfrac{dx}{dt}, \dfrac{dy}{dt}\Bigr)L_1L_2 それぞれの回転角の速度 \dfrac{d\theta_1}{dt}\dfrac{d\theta_2}{dt} の間には以下の関係式が成り立つ.
\begin{pmatrix} \dfrac{dx}{dt} & \dfrac{dy}{dt} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} a & b \\ c& d \end{pmatrix}\begin{pmatrix} \dfrac{d\theta_1}{dt} & \dfrac{d\theta_2}{dt} \end{pmatrix}
abcd\theta_1\theta_2l_1l_2 を用いて表せ.

(A-4) 設問(A-3)で求めた abcd の間に ad - bc = 0 という関係が成り立つのは \theta_1\theta_2 がどのような場合か.また,このとき手先 \rm E の速度ベクトルにどのような制限が加わるか答えよ.

(A-5) 関節 \rm O のモーターのみの回転運動によって生じる手先 \rm E の速度ベクトル \vec{u} と,関節 {\rm O}'のモーターのみの回転運動によって生じる手先 \rm E の速度ベクトル \vec{v} について考える.速度ベクトル \vec{u}\vec{v} が直交し得るための l_1l_2 の関係を求めよ.


2021.02.15記

[解答]