[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2016年(平成28年)お茶の水女子大学前期理学部-数学[1]

2023.02.01記

[1] a を正の実数とする.

(1) 平面上の点 (x,y)x+y=ax\gt 0,y\gt 0 の範囲を動くものとする.このとき,
x\log x+y\log y
の最小値を求めよ.

(2) 空間上の点 (x,y,z)x+y+z=ax\gt 0,y\gt 0,z\gt 0 の範囲を動くものとする.このとき
x\log x+y\log y+z\log z
の最小値を求めよ.

本問のテーマ
シャノンエントロピー

2023.02.01記
H(\textbf{x})=-\sum x_i\log x_i とおき,
x_1=\dfrac{x}{a}x_2=\dfrac{y}{a}x_3=\dfrac{z}{a}
とおくと,

(1)(2) は
-a H(\textbf{x}) -a\log a
と変形できるので,その最小値は H(\textbf{x}) が最大となるときだから,x_iが一様分布のとき,つまり全ての x_i が等しいとき.よって (1)は x=y=\dfrac{a}{2} で最小値 a\log\dfrac{a}{2}をとり,(2)は x=y=z=\dfrac{a}{3} で最小値 a\log\dfrac{a}{3} をとる.

シャノンエントロピーが一様分布で最大となることは,例えば
1990年(平成2年)東京工業大学前期数学[2]
のように Jensen の不等式を使って解くので,実際の答案は Jensen の不等式または接線による評価
Jensen の不等式 - 球面倶楽部 零八式 mark II
で求めることになる.