[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2015年(平成27年)慶應義塾大学薬学部-数学[4]

2023.02.16記

[4] ボタンを1回押すたびに1,2,3,4,5,6のいずれかの数字が1つ画面に表示される機械がある.このうちの1つの数字Qが表示される確率は\dfrac{1}{k}であり,Q以外の数字が表示される確率はいずれも等しいとする.ただし,kk\gt 6を満たす自然数とする.

ボタンを1回押して表示された数字を確認する試行を繰り返すとき,1回目に4の数字,2回目に5の数字が表示される確率は,1回目に5の数字,2回目に6の数字が表示される確率の\dfrac{8}{5}倍である.このとき,

(1) Q\fbox{(59)}であり,k\fbox{(60)}である.

(2) この試行を3回繰り返すとき,表示された3つの数字の和が16となる確率は
\dfrac{\fbox{(61)}\fbox{(62)}\fbox{(63)}}{\fbox{(64)}\fbox{(65)}\fbox{(66)}\fbox{(67)}}
である.

(3) この試行を500回繰り返すとき,そのうちQの数字がn回表示される確率をP_nとおくと,P_nの値が最も大きくなるn
の値は\fbox{(68)}\fbox{(69)}である.

2023.02.16記
タイプの理論(という程のものでもない)
2023(令和5年)京都大学理学部特色入試・数理科学入試-数学[2] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
から,十分nが大きいとき,二項分布の最頻値は \dfrac{n}{9} で起こるので、500÷9=55.555\cdots からn=5556 で最大となると予想できる.
もちろん正確には n\leqq \dfrac{501}{9} をみたす最大の自然数 n で実現されるので,n=55 であることがわかる.

[解答]
(1) 1つの数字だけ他の数字に比べて表示される確率が小さいことから,Q=6 であり,
\dfrac{1}{k}:\dfrac{1}{5}\left(1-\dfrac{1}{k}\right)=5:8
であるからk=9となる.

(2) 6が出る確率は \dfrac{1}{9}であり,残りの数字が出る確率は \dfrac{8}{45} である.

和が16となるのは
6+6+46+5+5
となる場合であるから,
3\times\dfrac{8\times8\times1}{45\times 45\times 9}+3\times\dfrac{8\times1\times1}{45\times 9\times 9}=\dfrac{8(8+5)}{45\times45\times 3}=\dfrac{104}{6075}

(3) p=\dfrac{1}{9} とおくと,
P_n={}_{500}\mbox{C}_n p^n(1-p)^{500-p}
である.
\dfrac{P_{n+1}}{P_n}=\dfrac{500-n}{n+1}\cdot\dfrac{p}{1-p}\gt 1

500-n\gt 8n+8
つまり
n\leqq 54+\dfrac{2}{3}
となるので,n=55のとき最大となる.