[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2011年(平成23年)東京大学後期-総合科目II[2]A

[2] この問題では,割合や確率に関係したことがらについて考える.

A
A, B, C, D の4人が図1のように丸テーブルを囲んで座っており,それぞれ砂金を
a[\mbox{kg}]b[\mbox{kg}]c[\mbox{kg}]d[\mbox{kg}] ずつ持っているとする.ただし a,b,c,d は正の定数である.今,4人の各々が,自分の砂金のうち,p の割合を右隣の人に,q の割合を左隣の人に分け与え,残りの (1-p-q) の割合を自分のところに残す操作を同時に行うとする.(図1のように A の右隣は B, A の左隣は D である.)ここで,p,q は,0\leqq p\leqq10\leqq q\leqq 1p+q\leqq 1 をみたす定数である.この操作を何回も繰り返し,最初から数えて n 回目(n=1,2,3,\ldots) の操作を終えた時点で A, B, C, D が持っている砂金の量を,それぞれ a_n[\mbox{kg}]b_n[\mbox{kg}]c_n[\mbox{kg}]d_n[\mbox{kg}] とする.ただし,a_0=ab_0=bc_0=cd_0=d とおく.なお,砂金は自由な割合に何回でも分割できるものとする.

図1(略)

(A-1) a_{n+1}b_{n+1}c_{n+1}d_{n+1} を,a_{n}b_{n}c_{n}d_{n} を用いて表せ.

(A-2) X_n=a_{n}+b_n+c_n+d_n(n=1,2,3,\ldots) とおく.X_{n} は,n によらないことを示せ.

(A-3) Y_n=a_{n}+c_n-b_n-d_n(n=1,2,3,\ldots) とおく.Y_{n+1} を,Y_n を用いて表せ.

(A-4) abcd をどのように選んでも a_n+c_nn\to\infty のとき必ず収束するための pq に関する必要十分条件を求めよ.また,そのときの a_n+c_n極限値を,abcd を用いて表せ.

(A-5) Z_n=(a_n-c_n)^2+(b_n-d_n)^2(n=1,2,3,\ldots) とおく.このとき,ある定数 K を用いて Z_{n+1}=KZ_n と表すことができる.定数 K を求めよ.

(A-6) abcd をどのように選んでも Z_nn\to\infty のとき必ず収束することを示せ.また,そのときの Z_n極限値を,abcd を用いて表せ.

(A-7) abcd をどのように選んでも a_nb_nc_nd_n の各々が n\to\infty のとき必ず収束するための pq に関する必要十分条件を求めよ.また,そのときの a_n極限値を,abcd を用いて表せ.

2021.02.15記

[解答]