[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2023年(令和5年)京都大学-数学(文系)[3]

2023.11.23記

[3] (1) \cos2\theta\cos3\theta\cos\theta の式として表せ.

(2) 半径1の円に内接する正五角形の一辺の長さが 1.15 より大きいか否かを理由を付けて判定せよ.

2023.11.23記

[解答]
(1) 加法定理により
\cos2\theta=2\cos^2\theta-1\cos3\theta=4\cos^3\theta-3=cos\theta
となる.

(2) 半径1に内接する5角形の1辺の長さは 2\sin 36^{\circ} である.
\theta=36^{\circ} とおくと \cos3\theta+\cos2\theta=0 が成立するので (1) より x=\cos\theta
4x^3-3x+2x^2-1=0
つまり
(x+1)(4x^2-2x-1)=0
となる.この3次方程式の解で 0\lt x\lt 1 をみたすのは x=\dfrac{1+\sqrt{5}}{4}(=\cos\theta) である.

2\sin\theta1.15=\dfrac{23}{20} の大小を知るには
\sin^2\theta\dfrac{23^2}{40^2} の大小を知れば良く,そのためには
1-\dfrac{23^2}{40^2}=\dfrac{17\cdot 63}{40^2}\cos^2\theta=\dfrac{3+\sqrt{5}}{8} の大小を知れば良く,そのためには
\dfrac{17\cdot 63}{200}=\dfrac{1071}{200}3+\sqrt{5} の大小を知れば良く,そのためには
\dfrac{471}{200}=2.355\sqrt{5} の大小を知れば良い.

今,\dfrac{471}{200}=2.355\gt \sqrt{5} であるから,
2\sin\theta\gt 1.15
となり,半径1の円に内接する正五角形の一辺の長さが 1.15 より大きい.

最後が少し気になるのであれば

\dfrac{471^2}{200^2}=5.5460255 の大小を知れば良い,

とすれば良いが,\sqrt{5}=2.236\cdots だから 2.3^2=5.29 を利用して

\dfrac{471}{200}=2.355\gt 2.3=\sqrt{5.29}\gt \sqrt{5}

とする方が計算が少なくて済む.