[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2024年(令和6年)九州大学前期-数学III[3]

2024.03.25記

[3] 以下の問いに答えよ.

(1) 自然数aba\lt b をみたすとき,\dfrac{b!}{a!}\geqq b が成り立つことを示せ.

(2) 2\cdot a!=b! をみたす自然数の組 (a,b) をすべて求めよ.

(3) a!+b!=2\cdot c! をみたす自然数の組 (a,b,c) をすべて求めよ.

2024.03.25記(2024/03/25/103641)

[解答]
(1) a\leqq b-1 であるから,\dfrac{b!}{a!}\geqq \dfrac{b!}{(b-1)!}=b である.

(2) 自然数の階乗は正の値をとり,2\cdot a!=b! より b\gt a(\geqq 1) だから,(1) より
2=\dfrac{b!}{a!}\geqq b\gt 1
となり,b=2a=1となる.よって (a,b)=(1,2) のみである.

(3) (i) a=b の場合:2\cdot a!= 2\cdot c! により a=c となり
(a,b,c)=(n,n,n)nは任意の自然数

(ii)
a\lt b の場合:2\cdot a!\lt a!+b!\lt 2\cdot b! であるから
2\cdot a!\lt c!\lt 2\cdot b!
が成立する.よって(1)と c\leqq \dfrac{c!}{b!} \lt 2 となるので c=1 となり
2\cdot a!\lt 1
なる自然数 a は存在しない.

a\lt b の場合:同様に存在しない。

以上から,
(a,b,c)=(n,n,n)nは任意の自然数