自然数 と実数 に対して,2つの整式
を考える. お異なる複素数とする.複素数平面上の2点 を結ぶ線分上にある点 で,
をみたすものが存在するとき,
は平均値の性質をもつ
ということにする.以下の問いに答えよ.ただし, は虚数単位とする.
(1) のとき,どのような も平均値の性質をもつことを示せ.
(2) が平均値の性質をもつための,実数 に関する必要十分条件を求めよ.
(3) は,平均値の性質をもたないことを示せ.
2021.03.17記
複素関数では,本問のように「実関数の平均値の定理」が成立しない.なので複素関数の微分において「複素関数の微分が、開集合において常に0であるとき,その開集合上で定数関数となる」ことを、実関数と同じように証明することはできない.複素関数では Cauchy-Riemann を利用して証明する.
(1) のとき, であるから
となり とすれば良いので,平均値の性質をもつ.
(2) のとき, である.
であるから,,つまり
をみたす が2点 を結ぶ線分上にある,つまり
となる条件を求めれば良い.
このとき ,つまり
となる.は実数より , は任意の実数のとき が存在するので( をみたしている).
求める必要十分条件は「 かつ は任意の実数のとき」である.
(3) のとき, とおくと
,であるから,
, となり,
である.
よって をみたす が2点 を結ぶ線分上に存在すると仮定すると の偏角から の偏角は として良く, の偏角が であることから, の偏角は となる.
このとき, となるので,
となり矛盾する.
よって は存在せず,平均値の性質をもたない.