[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2024年(令和6年)東京大学-数学(理科)[6]

2024.02.28記

[6] 2以上の整数で,1とそれ自身以外に正の約数を持たない数を素数という.以下の問いに答えよ.

(1) f(x)=x^3+10x^2+20x とする.f(n)素数となるような整数 n をすべて求めよ.
(2) a,b を整数の定数とし,g(x)=x^3+ax^2+b とする.g(n)素数となるような整数 n の個数は3個以下であることを示せ.

2024.02.28記
下手すぎるので,後で考え直す.

[解答]
(1) f(n)=(n^2+10n+20)n素数

(i) n=1 のとき 31 で素数

(ii) n=-1 のとき -9素数ではない

(iii) n^2+10n+20=1 のとき n は整数ではない

(iv) n^2+10n+20=-1 のとき n=-3,-7 となり,f(-3)=3f(-7)=7 より素数

以上から n=-7,-3,1

(2) h(x)=x^2+ax+b とおくと g(x)=x h(x) である.

g(n)素数となるためには
n=-1n=1h(n)=-1h(n)=1
のいずれかが成立する必要がある.

まず,「(★) h(x)=-1 または h(x)=1 をみたす4つの x が全て整数となるのは,4つの x が4連続整数となるときに限る」

を示す.h(x)=1h(x)=-1 の両方が整数解をもつと仮定すると解の公式から
a^2-4b+4a^2-4b-4 の両方が平方数となる.

ここで a^2-4b+4=A^2a^2-4b-4=B^2 とおくと
A^2-B^2=8
となるが,平方数は 1,4,9,16,25,… と続くのでこのような A^2,B^29,1 のみであり,a^2-4b=5 から
x^2+ax+\dfrac{a^2-5}{4}=\pm 1
\left(x+\dfrac{a}{2}\right)^2=\dfrac{5}{4}\pm 1
より
x=-\dfrac{a}{2}-\dfrac{3}{2}-\dfrac{a}{2}-\dfrac{1}{2}-\dfrac{a}{2}+\dfrac{1}{2}-\dfrac{a}{2}+\dfrac{3}{2} と4連続整数となり,(★)は示された.

では,証明する.

(i) h(n)=-1 または h(n)=1 をみたす4つの n が全て整数となるとき,4連続整数の中に絶対値が素数となるものが3つ以上含まれるためには偶数の素数2を含む必要があるので4連続整数が n=2,3,4,5 または n=-2,-3,-4,-5 のいずれかである必要がある.

前者は g(n)=n^3-7n^2+11n で,n=3 のとき n^2+an+b=-1 で不適,g(1)=5g(-1)\lt 0 より素数n=1,2,5 の場合の3つ.

後者は g(n)=n^3+7n^2+11n で,n=-2,-5 のとき n^2+an+b=1 で不適,g(1)=19g(-1)=-5 より素数n=-3,1 の場合の2つ.

よって,この場合は題意をみたす.

(ii) h(n)=-1 または h(n)=1 をみたす4つの n が全て整数とならないとき,(★)から h(n)=-1 または h(n)=1 の少くとも一方は整数解をもたず a が整数であることと解と係数の関係から,
(ア) いずれも整数解をもたない
(イ) h(n)=1 のみが2つの整数解をもつ
(ウ) h(n)=-1 のみが2つの整数解をもつ
のいずれかとなる.

(ア)の場合,素数となるのは高々 n=\pm 1 の場合より題意をみたす.

(イ)の場合, h(n)=1 の2つの整数解のうち素数となるのが0,1個の場合ならばn=\pm 1 を加えても高々3つより題意をみたす.

h(n)=1 の2つの整数解がともに素数となる場合,その素数p,qp\lt q) とすると解と係数の関係から
p+q=-apq=b-1
となるので,h(x)=x^2-(p+q)x+pq+1=(x-p)(x-q)+1 となり,
h(-1)=(p+1)(q+1)+1\gt 0
から g(-1)\lt 0 となり g(-1)素数とならないので題意をみたす.

(ウ) h(n)=-1 の2つの整数解のうち素数-1 倍となるのが0,1個の場合ならばn=\pm 1 を加えても高々3つより題意をみたす.

h(n)=-1 の2つの整数解がともに素数-1 倍となる場合,その素数p,qp\lt q) とすると解と係数の関係から
-p-q=-a(-p)(-q)=b+1
となるので,h(x)=x^2+(p+q)x+pq-1=(x+p)(x+q)-1 となり,
h(-1)=(p-1)(q-1)-1\gt 0(∵p\geqq 2,q\geqq 3
から g(-1)\lt 0 となり g(-1)素数とならないので題意をみたす.

以上、全ての場合を尽くしたので題意は証明された.

2024.04.23記
資料が見つかったので追記しておくと,[解答]の(★)は似た問題を解いたことがあるからで,それは1989年11月実施の京大オープンの文理共通の問題

整数を係数とする2次式 f(x) が次の条件(*)をみたすとする.

(*)連続する4つの整数 x=n,n+1,n+2,n+3 での値はいずれも |f(x)|\leqq 1 をみたす.

このとき,xn を用いて f(x) を表せ.

である.答は
f(x)=\pm\left\{\left(x-n-\dfrac{3}{2}\right)^2-\dfrac{5}{4}\right\}
=\pm(x^2-(2n+3)x+n^2+3n+1)
となる.