2023.12.03記
と定める.例えば は と表せるから, の要素である.
(1) 控えめな有理数 ,, が定める集合 の要素は控えめな有理数であることを示せ.
(2) でない控えめな有理数 が与えられたとき, となる 以上の整数 が存在することを示せ.
(3) 控えめな有理数 ,, が与えられたとき, となる控えめな有理数 が存在することを示せ.
(4) が属する集合 はいくつあるか.ただし ,, は控えめな有理数であるとし, ,, と ,, が異なっていても, であれば と は一つの集合として数える.
2023.12.03記
ℤ_2のイデアルの話で草 pic.twitter.com/exlaS6KNjA
— とと (@totomityann) 2023年12月2日
ℤ_{(2)}と書くことが多い気がします。
— ことり (@komugikotori) 2023年12月3日
(ℤ_2←これは2進整数環) https://t.co/y2k0Y8e5DA
既約分数として表現したときに奇数を分母とする有理数の集合を で表す.
この手の問題はどこまで丁寧に書くかが難しいけど,1問にかけられる時間を考えるとそこまで厳しくは採点できないだろう.
(1) (,
は整数, は正の奇数)のように表し,正の奇数 の最小公倍数を ,
とおくと,, は正の奇数である.
このとき,
の任意の要素
は分母が奇数の有理数であるから,控え目な有理数である.
(注: は最小公倍数でなくとも,
で良い.分母が奇数の有理数は約分できたとしても分母が奇数であることには変わりないからである.)
(2) (は整数, は正の奇数)とおくと, の任意の要素は控え目な有理数 (は整数, は正の奇数)を用いて (は奇数)と表すことができる.ここで は から決まる定数で, は任意の整数となりうる.ここで より,正の自然数 の2の因数の個数を ( は 0 以上の整数)とおくと をみたす奇数 が存在し,このとき の任意の要素 は ( は奇数であるから は控え目な自然数)と表すことができるので, の要素である.
逆に, の任意の要素 (は整数, は正の奇数)は (は整数,は正の奇数)と表すことができるので,これは の要素となる.
以上から, と は集合として一致する.
(3) (2) より に対して となる 0以上の整数 が存在し,このとき とおくと
となるので とすれば良い.
(4) (3) により, を含む (は0以上の整数)の個数を数えれば良い.ここで は と表される有理数の集合であるから, を含むような は の6個である.
(3) は厳密には
ならば
を証明して
を導き,
ならば
を証明して を小さい順番に並べ換えたものを としたときに
より
となることを示し,帰納的に最終的にこれが と等しくなることを示さなければならないが,そこまでは要求されていないと思う.
(3) もちろん(1)の設定で
の最大公約数を とおき, とおくと
であるから,
であり, により
をみたす整数 が存在するので
となり,
も成立するので,
となる.
これと,奇数 と 0以上の整数 について
となること(整数を掛けることができるが,奇数でしか割れない)から
とすると,
となる.