[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1999年(平成11年)東京大学後期-数学[2]

2021.01.13記

(1) x^2+y^2=1y=t(x+1) の交点を求めて {\rm Q}(t)\Bigl(\dfrac{1-t^2}{1+t^2},\dfrac{2t}{1+t^2}\Bigr)
同様に {\rm Q}(s)\Bigl(\dfrac{1-s^2}{1+s^2},\dfrac{2s}{1+s^2}\Bigr) だから,2点間の距離の公式より
{\rm Q}(s){\rm Q}(t)=\dfrac{2(t-s)}{\sqrt{(1+t^2)(1+s^2)}}(∵0\lt s\lt t

(2) tan の加法定理により
s=\dfrac{2u}{1-u^2},t=\dfrac{2v}{1-v^2} だから,
{\rm Q}(s){\rm Q}(t)=\dfrac{4(v-u)(1+uv)}{(1+u^2)(1+v^2)}
となり,u,v有理数ならば{\rm Q}(s){\rm Q}(t)有理数

(3) 0 より大きく 1 より小さい n 個の異なる有理数を用意し,それらをu_ii=1,2,\ldots,n)とする.t_i=\dfrac{2u_i}{1-u_i^2} によって定め,{\rm B}_i\Bigl(\dfrac{1-t_i^2}{1+t_i^2},\dfrac{2t_i}{1+t_i^2}\Bigr) によって単位円周上の異なる n{\rm B}_ii=1,\ldots,n)を定めると,これらのx,y 座標は全て有理数であり,(2) よりどの線分 {\rm B}_i{\rm B}_j の長さも有理数である.

{\rm B}_i の座標,\dfrac{n(n-1)}{2} 通りの線分の長さは有理数であるから,それらを既約分数で表現したときに登場する全ての分母(整数の場合は1とする)に対する最小公倍数を L とし,各 {\rm B}_i を原点中心に L 倍拡大した点を {\rm A}_ii=1,\ldots,n)とすると,各 {\rm A}_i は格子点で,それらの任意の異なる2点の長さは整数であり,これらは半径 L の円周上にあるので,どの3点も同一直線上にはないので,題意をみたす n 点となっている.