[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1999年(平成11年)東京大学前期-数学(文科)[2]

2024.02.11記

[2] 次の2つの条件(a),(b)を同時に満たす複素数 z 全体の集合を複素数平面上に図示せよ.

(a) 2z\dfrac{2}{z} の実部はいずれも整数である.

(b) |z|\geqq 1である.

2021.01.13記
2z の実部は z+\bar{z}\dfrac{2}{z} の実部は \dfrac{1}{z}+\dfrac{1}{\bar{z}}=\dfrac{z+\bar{z}}{|z|^2} となり,偏角は同じとなる.

z をどのように置くかの巧拙が後の計算に影響する.

[解答]
z=r(\cos\theta+i\sin\theta)r\geqq 1) とおくと,(2\cos\theta)r,\dfrac{2\cos\theta}{r} が整数となる.

このとき,2つの積 4\cos^2\theta0\leqq 4\cos^2\theta\leqq 4)も整数であることから,
2\cos\theta=0,\pm 1,\pm\sqrt{2},\pm\sqrt{3},\pm 2
となる.

(i) 2\cos\theta=0 のとき,rは任意だが,条件から r\geqq 1 なので,(0,y)|y|\geqq 1

(ii) 2\cos\theta=\pm1 のとき,r,\dfrac{1}{r}が整数となるので \dfrac{1}{r}=1,つまり r=1 が必要かつ十分となり,\Bigl(\pm\dfrac{1}{2},\pm\dfrac{\sqrt{3}}{2}\Bigr)(複号任意)

(iii) 2\cos\theta=\pm\sqrt{2} のとき,\sqrt{2}r,\dfrac{\sqrt{2}}{r}が整数となるので \dfrac{\sqrt{2}}{r}=1,つまり r=\sqrt{2} が必要かつ十分となり,(\pm1,\pm1)(複号任意)

(iv) \cos\theta=\pm\dfrac{\sqrt{3}}{2} のとき,\sqrt{3}r,\dfrac{\sqrt{3}}{r}が整数となるので \dfrac{\sqrt{3}}{r}=1,つまり r=\sqrt{3} が必要かつ十分となり,\Bigl(\pm\dfrac{3}{2},\pm\dfrac{\sqrt{3}}{2}\Bigr)(複号任意)

(v) \cos\theta=\pm1 のとき,2r,\dfrac{2}{r}が整数となるので \dfrac{2}{r}=1,2,つまり r=1,2 が必要かつ十分となり,(\pm 1,0)(\pm 2,0)

以上(i)〜(v)(16個の点と2つの半直線)を図示すれば良い.