2022.10.22記
[3] 成分が整数である2次の正方行列の集合を,
とする.
とする.
(1) 2次の正方行列 および の逆行列が に属するとき, であることを示せ.
(2) 次の条件を満たす2次の正方行列 の例を1つあげよ.
は整数でない有理数で,かつ は に属する.
(3) 有理数を成分とする2次の正方行列 について,
が に属するならば, は整数であることを示せ.
本問のテーマ
ユニモジュラー行列
2022.10.14記
(1)はユニモジュラー行列の話だけど,(2)(3)は違う.
[解答]
(1) の要素の行列式は必ず整数である.
よって および も に属するならば
および
が整数でなければならないので ,つまり である.
(1) の要素の行列式は必ず整数である.
よって および も に属するならば
および
が整数でなければならないので ,つまり である.
(2) 単位行列を とするとき, なる有理数成分の行列を探せば十分である.それは整数成分で かつ, が平方数 となるものを探して,その行列を で割れば得られる.例えば整数成分の行列 の行列式は なので,これを2で割った が題意をみたす.
(3) は題意より整数である.ここで が整数でない有理数であるとすると は整数ではなくなるので矛盾する.よって は整数である.
有理数を (は互いに素)で表したとき, の分子と分母の互いに素となるので,もとの有理数が整数でなければ平方したものも整数ではないという話.