[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1889年(明治22年)帝國大學理科大學簡易科講習科-幾何學

2022.05.28記

[1] 一ツノ三角形ノ三邊ガ夫々一ツノ他ノ三角形ノ三邊ニ等シケレバ二ツノ三角形ハ全ク相等シ而相等シキ角ハ夫々相等シキ邊ニ對ス

[2] 與ヘラレタル直線の上ニ與ヘラレタル角ヲ含ム弓形ヲ畫クヿ

[3] 二ツノ直線ノ上ノ正方形ノ差ハ直線ノ和ト其差トノ包ム矩形ニ等シ

[4] 相似三角形ノ比ハ其ノ對應邊ノ二乗比ニ等シ

[5] 二ツノ平面ガ同一ノ直線ニ平行ナレハ其交リモ亦之ニ平行ナリ

は「シテ」の合字

原文は英語のようで,
「記者曰ク、此弓形ハ英語 Segment ノ譯ニシテ之ヲ割圓或ハ缺圓トモ譯ス」
とある.

[1] 1つの三角形の3邊がそれぞれ1つの他の三角形の3邊に等しければ,2つの三角形は合同で,よって等しい角はそれぞれ等しい邊に對應する角である

[2] 與えられた直線の上に與えられた角を含む弓形をかくこと

[3] 2つの正方形の面積の差は辺の長さの和と差でできる長方形の面積に等しい

[4] 相似三角形の面積比は,對應する辺の二乗比に等しい

[5] 二つの平面が同一の直線に平行ならば,その交わりもその直線に平行である

2022.05.28記

[解答]
[1] 三邊相等の合同であれば,對應する3つの角も等しいことを示せという.2辺夾角において2辺が等しく夾角が異なれば対辺の長さが異なることから三邊相等に反するので,對應する夾角が等しくなる,ということからわかる.

[2] の問題文の「与えられた角を含む弓形」の意味が不明だが,参照した文献では

[2] 与えられた直線上に点 \rm A\rm D をとり,\angle\rm BADが与ええられた角度となるように点 \rm B をとるとき,点 \rm Aで与えられた直線に接し,点 \rm B を通る円を描け
という問題を解いているが,与えられた角度に等しい点 \rm B の取り方は一意でないため,点\rm B を通る円を作図する意味がわからない.
[3] 式だと和と差の積は平方の差であることを図示で示すには、一辺 a+b の正方形の隅に一辺 b の正方形を配置し,その辺を用いて大きな正方形を a\times aの正方形,a\times bの長方形,b\times aの長方形,b\times b の正方形に分割することにより,
正方形の面積の差は
a\times aの正方形,a\times bの長方形,b\times aの長方形
の和に等しく,これは a\times\{(a+b)+b\} の長方形の面積に等しい

[4] 對應する頂点から対辺に下した垂線の長さも同じ相似比になるので,面積を「底辺×高さ÷2」で計算することにより面積比は相似比の2乗となる.

[5] 與えられた直線を \ell とし,2つの平面 \Pi_1,\Pi_2 が交わるときの交線を m とする.

(i) \ellm が交わるとき,その交点において \ell が2つの平面 \Pi_1,\Pi_2 が交わるので,\ell が2つの平面に平行であることに矛盾

(ii) \ellm が捩れの位置にあるとき,やはり \ell が2つの平面 \Pi_1,\Pi_2 が交わるので,\ell が2つの平面に平行であることに矛盾

よって \ellm は平行である.