[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1924年(大正13年)東京帝國大學理學部(物理科、化學科)-數學[3]

[3] f(x,\sqrt{x^2-1})x\sqrt{x^2-1} トノ有理函數ナルトキ\displaystyle\int f(x,\sqrt{x^2-1})\,dxヲ索ムル方法ヲ示セ.

2022.08.07記
y=\sqrt{x^2-1} とおくと,x^2-y^2=1 となることから,この双曲線のパラメータ表示
(x,y)=\left(\dfrac{1}{2}\left(t+\dfrac{1}{t}\right),\dfrac{1}{2}\left(t-\dfrac{1}{t}\right)\right)
を利用して,
x=\dfrac{1}{2}\left(t+\dfrac{1}{t}\right)
と置換する.

[解答]
x=\dfrac{1}{2}\left(t+\dfrac{1}{t}\right)と置換すると,
dx=\dfrac{t^2-1}{2t^2}\, dt
であるから,
\displaystyle\int f\left(\dfrac{1}{2}\left(t+\dfrac{1}{t}\right), \dfrac{1}{2}\left(t-\dfrac{1}{t}\right)\right)\cdot\dfrac{t^2-1}{2t^2}\, dt
t の有理関数の原始関数を求める問題に帰着することができ,この原始関数は求めることが可能であり,求めた後に
t=x+\sqrt{x^2-1} を代入して x の関数に戻せば良い.

有理関数 \dfrac{f(t)}{g(t)}f,g多項式)の原始関数を求めるには,
f(t)=g(t)Q(t)+R(t) と整除して,
\dfrac{f(t)}{g(t)}=Q(t)+\dfrac{R(t)}{g(t)}
と変形し,Q(t)多項式だから簡単に積分でき,\dfrac{R(t)}{g(t)} は部分分数分解によって積分可能な形になる.