[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1934年(昭和9年)東京帝國大學理學部-數學[3]

2022.08.10記

[3] 半球形ノ器ニ滿タセル水ヲソノ最底部ニアル小孔ヨリ流出セシムルトキハ,全部ヲ出シ盡スマデニ要スル時間如何.但シ流出スル水ノ速サハ水深ノ平方根ニ比例スルモノトス.

2022.08.11記
問題文に与えられていない「半球の半径」,「流出速度の比例定数」を自分で与え,それが結果に含まれることに注意する.

[解答]
水深が h のときの水の容積を V,流出する水の速さを C\sqrt{h}C は定数)とすると,
dV=-C\sqrt{h}\, dt
が成立する.ここで半球の半径を r とすると
V=\displaystyle\int{r-h}^r \pi(r^2-t^2)dt\displaystyle\int{0}^h \pi(2ru-u^2)du
であるから,
(2rh-h^2)dh=-C\sqrt{h}\, dt
となり,
\dfrac{4}{3}rh^{3/2}-\dfrac{2}{5}h^{5/2}=-\dfrac{C}{\pi}t+(積分定数)
が成立する.ここで t=0 のとき h=r であるから
\dfrac{4}{3}rh^{3/2}-\dfrac{2}{5}h^{5/2}=-\dfrac{C}{\pi}t+\dfrac{14}{15}r^{5/2}
となり,よって h=0 となるのは
t=\dfrac{14\pi}{15C}r^{5/2}
となる.