[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1971年(昭和46年)東京大学-数学(理科)[5]

[5] n を正の整数とし,\left(\cos\dfrac{2\pi}{n}k,\sin\dfrac{2\pi}{n}k\right) を座標とする点を {\rm Q}_k であらわす.
このとき,n 個の点 \rm Q_0,Q_1,\cdots,Q_{n-1} によって円周 x^2+y^2=1n 等分される.

平面上の点 \rm P の座標を (a,b)とし,
s_n=\dfrac{1}{n}({\overline{\rm PQ_0}}^2+\overline{\rm PQ_1}^2+\cdots+\overline{{\rm PQ}_{n-1}}^2)
とするとき,\displaystyle \lambda_{\rm P}=\lim_{n\to\infty}s_n の値を ab をもちいてあらわせ.
また,\rm P がどこにあれば \lambda_{\rm P} の値は最小となるか.

2021.10.08記

[解答]

 \overline{{\rm PQ}_k}^2=|\vec{\rm OP}|^2-2\vec{\rm OP}\cdot \vec{{\rm OQ}_k}+|\vec{{\rm OQ}_k}|^2
 =1+a^2+b^2-2\vec{\rm OP}\cdot \vec{{\rm OQ}_k}
である.正n角形{\rm Q}_0{\rm Q}_1\cdots {\rm Q}_{n-1} の重心が原点であることから,
\displaystyle \sum_{k=1}^n \vec{{\rm OQ}_k}=\vec{0} に注意すると,
\displaystyle s_n=1+a^2+b^2+\dfrac{1}{n}\vec{\rm OP}\cdot \sum_{k=1}^n \vec{{\rm OQ}_k}=1+a^2+b^2
となるので,
\displaystyle \lambda_{\rm P}=1+a^2+b^2であり,\lambda_{\rm P} の値が最小となるのは
\rm P が原点のときである.