[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1980年(昭和55年)東京大学-数学(理科)[4]

2023.08.22記

[4] xy 平面上の動点 \mbox{P} の座標 (x,y) は,時刻 t を用いて
\left\{
\begin{array}{l}
x= \sin t+\cos t \\
y = k \sin^2 t \cos^2 t
\end{array}
\right.
-\infty \lt t\lt \infty)と表されるものとする.ただし k は正の定数である.このとき原点と \mbox{P} との間の距離の2乗の最大値および最小値を,k を用いて表せ.

2020.11.25記

[解答]
x^2+y^2=1+\sin 2t+\dfrac{k^2}{16}\sin^4 2t の全実数における最小値を求めれば良い.

u=\sin 2t\in[-1,1] とおき,f(u)=\dfrac{k^2}{16}u^4+u+1k\gt 0) とおくと,
f'(u)=0\Leftrightarrow u=-\sqrt[3]{\dfrac{4}{k^2}}
となり,この前後で符号が負から正に変化するので極小となる.

0\lt k\leqq 2 のとき,極小を与える u-1 以下となるので最小値は f(-1)=\dfrac{k^2}{16},最大値は f(1)=\dfrac{k^2}{16}+2

2\lt k のとき,極小を与える u区間内となるので最小値は f\Bigl(-\sqrt[3]{\dfrac{4}{k^2}}\Bigr)=1-\dfrac{3}{4}\sqrt[3]{\dfrac{4}{k^2}},最大値は  \max\{f(-1),f(1)\}=f(1)=\dfrac{k^2}{16}+2

となる.

動点 P は次のような W型を描く.

(k=1.5)

(k=4.8)

このような形状を知らなくても原点からの距離の最大最小を議論できるのが数学のすごいところ.