[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1996年(平成8年)東京大学前期-数学(文科)[3]

2024.01.14記

[3] xy 平面上の点 \mbox{P}(a,b) に対し,正方形 S(\mbox{P}) を連立不等式 |x-a|\leqq\dfrac{1}{2}|y-b|\leqq\dfrac{1}{2} の表す領域として定め,原点と S(\mbox{P}) の点との距離の最小値を f(\mbox{P}) とする.点 (2,1) を中心とする半径 1 の円周上を \mbox{P} が動くとき,f(\mbox{P}) の最大値を求めよ.

2021.01.20記

[解答]
f({\rm P}) を最小にする点は {\rm P}y 座標が \dfrac{1}{2} 以上のときは左下の点,0\leqq y\leqq\dfrac{1}{2} をみたすときは左側の辺と x 軸の交点となる.よって f({\rm P}) を最小にする点の軌跡は
\Bigl(x-\dfrac{3}{2}\Bigr)^2+\Bigl(y-\dfrac{1}{2}\Bigr)^2=1 かつ y\geqq 0
または
y=0 かつ \dfrac{3-\sqrt{3}}{2}\leqq x\leqq\dfrac{3+\sqrt{3}}{2}

となる.この軌跡上の点において原点から一番遠い点は原点と円の中心を結ぶ直線と円弧の交点のうち原点から遠い方だから,その点と原点の距離は
\dfrac{\sqrt{10}}{2}+1
となる.