[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1995年(平成7年)東京大学前期-数学(文科)[3]

2024.01.13記

[3] xy 平面において,曲線 y=-x^3+ax 上の x\gt 0 の部分に,点 \mbox{P} を次の条件をみたすようにとる.ただし,a\gt 0 とする.
\mbox{P} におけるこの曲線の接線と y 軸との交点を \mbox{Q} とするとき,原点 \mbox{O} における接線が \angle\mbox{QOP} を二等分する.
このとき,\triangle\mbox{QOP} の面積 S(a) の最小値と,それを与える a の値を求めよ.

本問のテーマ
多項式関数 f(x)x=0 における接線は y=(f(x)の1次以下の項)

2024.01.14記
先に \mbox{P} を設定して \angle\mbox{QOP} を二等分するよりも,先に \angle\mbox{QOP} の2等分線を設定して直線 \mbox{OP} の式を出した後に \mbox{P} を求める方が楽.

[解答]
y=f(x)=-x^3+ax\mbox{O} における接線 は y=ax,つまり x=\dfrac{1}{a}y であるから,直線 \mbox{OP} の式は tan の2倍角公式から
x=\dfrac{2/a}{1-1/a^2}y=\dfrac{2a}{a^2-1}y,つまり y=\dfrac{a^2-1}{2a}x となる.

よって点 \mbox{P}x 座標は
-x^3+ax=\dfrac{a^2-1}{2a}xx\gt 0
により x=\sqrt{\dfrac{a^2+1}{2a}} となる.この値を b とおく.

このとき点 \mbox{P} における接線は
y=(-3b^2+a)(x-b)-b^3+ab=(-3b^2+a)x+2b^3
により \mbox{Q}(0,2b^3) であるから,
S(a)=\dfrac{1}{2}\cdot 2b^3 \cdot b=b^4=\dfrac{1}{4}\left(a+\dfrac{1}{a}\right)^2
となり,AM-GM 不等式から a\gt 0
a+\dfrac{1}{a}\geqq 2(等号は a=1
となるので
S(a)a=1 のときに最小値 1 をとる.