[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1995年(平成7年)東京大学前期-数学(文科)[2]

2024.01.13記

[2] 自然数 k に対し,xy 平面上のベクトル \vec{v}_k=\left(\cos\dfrac{k\pi}{4},\sin\dfrac{k\pi}{4}\right) を考える.ab を正の数とし,平面上の点 \mbox{P}_0\mbox{P}_1,…,\mbox{P}_8
\mbox{P}_0=(0,0)
\overrightarrow{\mbox{P}_{2n}\mbox{P}_{2n+1}}=a\,\vec{v}_{2n+1}n=0123
\overrightarrow{\mbox{P}_{2n+1}\mbox{P}_{2n+2}}=b\,\vec{v}_{2n+2}n=0123
により定める.このとき以下の問いに答えよ.

(1) \mbox{P}_8=\mbox{P}_0 であることを示せ.

(2) \mbox{P}_0\mbox{P}_1,…,\mbox{P}_8 を順に結んで得られる8角形の面積 Sab を用いて表せ.

(3) 面積 S7,線分 \mbox{P}_0\mbox{P}_4 の長さが \sqrt{10} のとき,abの値を求めよ.

2024.01.14記

[解答]
自然数 k に対し,\vec{v}_{k}+\vec{v}_{k+4}=\vec{0} である.

(1) \overrightarrow{\mbox{P}_{0}\mbox{P}_{8}}
=a\vec{v}_{1}+b\vec{v}_{2}+a\vec{v}_{3}+b\vec{v}_{4}+a\vec{v}_{5}+b\vec{v}_{6}+a\vec{v}_{7}+b\vec{v}_{8}
=a(\vec{v}_{1}+\vec{v}_{5}+a(\vec{v}_{3}+\vec{v}_{7})+b(\vec{v}_{2}+\vec{v}_{6})+b(\vec{v}_{4}+\vec{v}_{8})
=\vec{0}
により \mbox{P}_8=\mbox{P}_0 である.

(2) 一辺 \sqrt{2}a+b の正方形から 4 つの斜辺が a の直角2等辺三角形を切り落したものだから,その面積は
S=(\sqrt{2}a+b)^2-a^2=a^2+2\sqrt{2}ab+b^2
となる.

(3) S=(\sqrt{2}a+b)^2-a^2=7
|\overrightarrow{\mbox{P}_{0}\mbox{P}_{4}}|^2=|\overrightarrow{\mbox{P}_{0}\mbox{P}_{3}}|^2+|\overrightarrow{\mbox{P}_{3}\mbox{P}_{4}}|^2=(\sqrt{2}a+b)^2+b^2=10
であるから,a^2+b^2=3 となり
S=a^2+2\sqrt{2}ab+b^2
から ab=\sqrt{2},つまり a^2b^2=2 となる.

よって a^2,b^2t についての2次方程式
t^2-3t+2=(t-1)(t-2)
の2解となり,よって (a,b)=(1,\sqrt{2})(\sqrt{2},1) となる.