[1] 自然数 に対し, 個の二項係数 ,,, を考え,これらすべての最大公約数を とする.すなわち はこれらすべてを割り切る最大の自然数である.
(1) が素数ならば, であることを示せ.
(2) すべての自然数 に対し, が で割り切れることを, に関する数学的帰納法によって示せ.
(3) が偶数のとき は または であることを示せ.
本問のテーマ
Kummer の定理
2019.04.15記
Kummer の定理(二項係数が素数 p で割り切れない条件 - 球面倶楽部 零八式 mark II) を利用する.
[大人の解答]
(1) が素数のとき、が で割り切れない条件は 進数の足し算 で繰り上がりが起きないことであるが、 のとき必ず繰り上がりが起きているので、これらはすべて の倍数。 であるから、最大公約数は である。
(2) は の倍数であり, は の倍数であるから帰納的に は の倍数。
(3) すべての について(2)が成立するので、うまい の値を探すと とすれば良いことがわかる。このとき は の倍数である。ここで を の多項式とみたときの定数項は であるから、 は の倍数である。よって は の約数となり または である。
[解答]
(3) としても良い。このとき、 とかけ、これは の倍数である。また も の倍数である。よってユークリッドの互除法から も の倍数である。よって は の約数となり または である。
駿台の森茂樹先生による解答
[うまい解答]
(3) から が成立し、左辺が の倍数であるから、右辺 も の倍数である.
なお,1999年の東大の問題から、 が偶数のときのときはであり、それ以外の偶数のときにはであることがわかる。