2020.10.18記
条件 (iii) が成立する必要十分条件は絶対値が1未満の固有値 をもつことであり,それは とは異なるので は異なる2つの固有値をもつことになる.
の固有値 に対応する固有ベクトルは であり,固有値 に対応する固有ベクトルを とすると,この2つのベクトルは線形独立だから,
() と一意に書ける.このとき, とすると, による像が収束しないので条件 (iii) に反する.
よって となり,固有値 に対応する固有ベクトルはであることがわかる.
よって, は を対角化した行列 となる.そして成分計算から
となる.
これから , が示された.
となる訳だが,これだと (1) の想定解の ではなく,一足飛びに が得られてしまう.
なお,「条件 (iii) が成立する必要十分条件は絶対値が1未満の固有値 をもつ」のくだりをもう少し丁寧に証明すると次のようになる.
の固有値が で重解をもつとき, だから,
が成立するので,条件(iii) をみたすためには
が で成立する必要がある(零ベクトルに近づくスピートは係数の指数の増大するスピードよりは遅いのだが).
このとき, でなければならないが,このとき. だから, の像は零ベクトルに収束しないので矛盾.
よって, は相異なる固有値をもつ. でない固有値を とし,その固有ベクトルを とする.また, とする.このとき,
をみたす が存在する.ここで とすると,第2成分から となり,左辺が零ベクトルとなって矛盾するので である.
このとき, となるので,これが収束するためには だから,
かつ である.
よって,固有値 に対応する固有ベクトルはであることがわかる.
のようになる.
条件 (iii) が成立する必要十分条件は絶対値が1未満の固有値 をもつことであり,それは とは異なるので は異なる2つの固有値をもつことになる.
を固有ベクトルの線形結合で表現したとき,固有値 に対する固有ベクトルを含むと条件(iii) が成立しないので は固有値 に対する固有ベクトルである.
よって, となり, が言えた.
なお, は を対角化した行列なので, となり,(2) も示された.
しかし残念ながら,既に を導いたので, と を使わずに表せてしまったので(1)はごめんなさい.
普通に解くと次のようになる.
(1)
(2) とおくと, だから, が成立する.
よって,
となり,これは零ベクトルに収束する.
(3) とおくと, となる.
このとき,帰納的に
となるので,
が零ベクトルに収束することから,
かつ である. より だから
かつ が言えた.
(1) で となった時点で, の固有値(の固有値)が であることがわかる(Schur の標準形)
から帰納的に が成立し, が0に収束するので, である.
2020.10.22記
固有値の冪乗法と関連付けようと思ったが、イマイチ。
冪乗法の初期値の選び方を失敗するとうまくいかなくなる場合は、初期値が最大固有値に対応する固有ベクトルの成分を含まないときであるという話と近い訳ではあるが.