[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2023年(令和5年)東京大学-数学(文科)[1]

2023.11.22記

[1] k を正の実数とし,2次方程式 x^2+x-k=0 の2つの実数解を \alpha\beta とする.kk\gt 2 の範囲を動くとき,\dfrac{\alpha^3}{1-\beta}+\dfrac{\beta^3}{1-\alpha} の最小値を求めよ.

2023.11.23記

[解答]
\alpha\beta
(x-1)(x+2)=k-2x^2=k-xx^3=(k+1)x-k
をみたすので,
\dfrac{\alpha^3}{1-\beta}+\dfrac{\beta^3}{1-\alpha}
=-\dfrac{\alpha^3(\beta+2)+\beta^3(\alpha+2)}{k-2}
=-\dfrac{2(\alpha^3+\beta^3)-k(\alpha^2+\beta^2)}{k-2}
=-\dfrac{2(k+1)(\alpha+\beta)-4k-k(2k-\alpha-\beta)}{k-2}
=-\dfrac{-2(k+1)-4k-k(2k+1)}{k-2}
=\dfrac{2k^2+7k+2}{k-2}
=2(k-2)+\dfrac{24}{k-2}+15
となるので,この値の k\gt 2 における最小値は AM-GM 不等式により
2(k-2)+\dfrac{24}{k-2}+15\geqq 8\sqrt{3}+15
(等号成立は (k-2)^2=12 から k=2+2\sqrt{3}
となる.