[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2021年(令和3年)京都大学-数学(理系)[1]

[1]

次の各問に答えよ.

問1 xyz 空間の3点{\rm A}(1,0,0){\rm B}(0, - 1,0){\rm C}(0,0,2) を通る平面 \alpha に関して点 {\rm P}(1,1,1) と対称な点 \rm Q の座標を求めよ.ただし,点 \rm Q が平面 \alpha に関して \rm P と対称であるとは,線分 \rm PQ の中点 \rm M が平面 \alpha 上にあり,直線 \rm PM\rm P から平面 \alpha に下ろした垂線となることである.

問2 赤玉,白玉,青玉,黄玉が1個ずつ入った袋がある.よくかきまぜた後に袋から玉を1個取り出し,その玉の色を記録してから袋に戻す.この試行を繰り返すとき,n 回目の試行で初めて赤玉が取り出されて4種類全ての色が記録済みとなる確率を求めよ.ただしnは4以上の整数とする.

2021.02.14記

[解答]

問1
切片方程式から,\alpha:x-y+\dfrac{z}{2}=1 となるので,\alpha の法線ベクトルとして \overrightarrow{n}=(2,-2,1) をとることができる.\rm P から \alpha に下した垂線の足を \rm H とすると,正射影ベクトルから \overrightarrow{\rm PH}=\dfrac{\overrightarrow{\rm PA}\cdot \overrightarrow{n}}{|\overrightarrow{n}|^2}\overrightarrow{n}=\dfrac{1}{9}\overrightarrow{n} となる.よって \overrightarrow{\rm OQ}=\overrightarrow{\rm OP}+2\overrightarrow{\rm PH}\Bigl(\dfrac{13}{9},\dfrac{5}{9},\dfrac{11}{9}\Bigr)となり,\rm Q の座標は \Bigl(\dfrac{13}{9},\dfrac{5}{9},\dfrac{11}{9}\Bigr) となる.

問2
n-1 回目までに白,青,黄だけが少くとも1回以上ずつ出る場合の数を求める.

n-1 回目までに白,青,黄の1色だけが出る場合の数は 3 通りである.

n-1 回目までに白,青,黄のうち2色以下が出る場合の数は 3\cdot 2^{n-1} 通りだから,n-1 回目までに白,青,黄のうちちょうど2色が出る場合の数は 3\cdot 2^{n-1}-3 通りである.

n-1 回目までに白,青,黄の3色以下が出る場合の数は 3^{n-1} 通りだから,n-1 回目までに白,青,黄のうちちょうど3色が出る場合の数は 3^{n-1}-3\cdot 2^{n-1}+3 通りである.

また,n 回目に赤が出るのは1通りであるから,題意をみたす場合の数は 3^{n-1}-3\cdot 2^{n-1}+3 通りであり,よって求める確率は
\dfrac{3^{n-1}-3\cdot 2^{n-1}+3}{4^n} となる.

個人的には垂直2等分面の式を次のように出すのが好み.

問1
{\rm Q}(p,q,r) とおくとき,\rm PQ の垂直2等分面が \alpha となれば良い.垂直2等分面上の点 (x,y,z)
 (x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2=(x-p)^2+(y-q)^2+(z-r)^2
つまり
 2(p-1)x+2(q-1)y+2(r-1)z=p^2+q^2+r^2-3
をみたす.これが \alpha の方程式 2x-2y+z=2 と同値であるから
p-1:q-1:r-1:\dfrac{3-p^2-q^2-r^2}{2}=2:-2:1:2
が成立する.前3項から
p=1+2kq=1-2kr=1+k(k\neq 0)
とおけるので,第4項目から
9k^2+2k=4k となり,k\neq 0 から k=\dfrac{2}{9} となる.

よって \Bigl(\dfrac{13}{9},\dfrac{5}{9},\dfrac{11}{9}\Bigr)