[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1966年(昭和41年)東京大学-数学(理科)[6](旧課程)

2020.09.29記

[6](旧課程) 平面上で,曲線 x+y^2-5=0 を,x 軸に平行なある直線 l_1 に関して折り返し,さらに別の直線 l_2 に関して折り返せば,曲線 x^2-y+1=0 に重なるという.直線 l_1 および l_2 の方程式を求めよ.

本問のテーマ
折り返しの合成は回転

2020.09.29記

[うまい解答]
l_1l_2 に関する折り返しの合成は,l_1l_2 の交点に関する回転となる.放物線の向きに着目すると -90^{\circ} 回転であり,頂点が(5,0) から (0,1) に移るので回転の中心はこの2点を斜辺とする直角2等辺三角形の頂点のうちの (3,3) となる.

また,回転量は2直線のなす角度の2倍であり,それが-90^{\circ} であるから,l_1-45^{\circ} 回転すると l_2 となる.

以上から,l_1(3,3) を通り x 軸に平行な直線だから y=3 となり,l_2 はこれを (3,3) 中心に -45^{\circ} 回転させた y=-(x-3)+3=-x+6 となる.

2022.05.02記
変換を決定するために2点の像を追跡する.ここでは放物線の頂点と焦点に着目する.

[解答]
x+y^2-5=0y^2=4\left(-\dfrac{1}{4}\right)(x-5) と変形できるので,
頂点は(5,0),焦点は\left(\dfrac{19}{4},0\right)
である.

l_1y=k とすれば,折り返して得られる放物線の
頂点は(5,2k),焦点は\left(\dfrac{19}{4},2k\right)
である.

それを l_2 に関して折り返すと
x^2-y+1=0 に移り,これは x^2=4\cdot\dfrac{1}{4}(y-1) と変形できることから
頂点は(0,1),焦点は\left(0,\dfrac{5}{4}\right)
である.

よって (5,2k)(0,1)l_2 に対して対称であり,
\left(\dfrac{19}{4},2k\right)\left(0,\dfrac{5}{4}\right)l_2 に対して対称である.

これから,(5,2k)(0,1) を結ぶ直線の傾きと \left(\dfrac{19}{4},2k\right)\left(0,\dfrac{5}{4}\right) を結ぶ直線の傾きは等しいので,
5:(2k-1)=\dfrac{19}{4}:\left(2k-\dfrac{5}{4}\right)
となり k=3 であり,傾きは 1 となる.

よって l_1x=3 であり,l_2(5,6)(0,1) の垂直2等分線なので
(x-5)^2+(y-6)^2=x^2+(y-1)^2 を整理した y=-x+6 となる.