[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2021年(令和3年)京都大学-数学(理系)[5]

[5]

xy 平面において,2点 {\rm B}(-\sqrt{3},-1){\rm C}(\sqrt{3},-1) に対し.点 \rm A は次の条件(*)を満たすとする.

(*) \triangle{\rm BAC}=\dfrac{\pi}{3} かつ点 \rm Ay 座標は正.

次の各問に答えよ.

(1) \triangle{\rm ABC} の外心の座標を求めよ.

(2) 点 \rm A が条件(*)を満たしながら動くとき,\triangle{\rm ABC} の垂心の軌跡を求めよ.

2021.03.09記
オイラー線から,三角形 \triangle\rm ABC の重心が原点 \rm O のとき,垂心 \rm Hの位置ベクトルは
\overrightarrow{\rm OH}=\overrightarrow{\rm OA}+\overrightarrow{\rm OB}+\overrightarrow{\rm OC}
となるので,
\overrightarrow{\rm OH}=\overrightarrow{\rm OA}+(0,-2)
となる.

[解答]

(1) 円周角の定理より,\triangle{\rm ABC} の外接円の弧 \rm BC に対する中心角は \dfrac{2\pi}{3} であるから,外接円の中心は (0,0) はまた (0,-2) となるが,外接円の中心が (0,-2) となる場合,円周上に x\gt 0 となる部分は存在せず,また外接円の中心が (0,0) となる場合,円周上に x\gt 0 となる部分は確かに存在するので,求める座標は (0,0) である.

(2) (1)より {\rm A}(2\cos\theta,2\sin\theta)(\sin\theta\gt 0) とおける.{\rm H} から \rm BC に下した垂線の式は x=2\cos\theta だから,{\rm H}(2\cos\theta,Y) とおくと,\overrightarrow{\rm AC}\cdot\overrightarrow{\rm BH}=0 から
(\sqrt{3}-2\cos\theta)(2\cos\theta+\sqrt{3})+(-1-2\sin\theta)(Y+1)=0
となる.整理すると
(2\sin\theta+1)Y=-2(2\sin\theta+1)(\sin\theta-1)=0
となるが,\sin\theta\gt 0 より 2\sin\theta+1\neq 0 だから Y=2\sin\theta-2 となる.つまり,\rm H\rm Ay 軸方向に -2 だけ平行移動した点となるので,求める軌跡は x^2+(y+2)^2=4 かつ y\gt -2 である.