[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2020年(令和2年)九州大学後期数学[3]

[3]

正の定数 r に対して座標空間内の3点 {\rm O}(0,0,0){\rm A}(r,0,0){\rm B}(0,r,0) を定める.また,平面 y=\dfrac{1}{2}r 上の点 \rm C に対して,線分 \rm AC の中点を \rm P とする.ただし,点 \rm Cz 座標は正である.このとき,以下の問いに答えよ.

(1) 点 \rm Q は線分 \rm OB 上の点とする.定数 a,c に対し,点 \rm C を位置 \Bigl(a,\dfrac{1}{2}r,c\Bigr) に固定したとき, |\overrightarrow{\rm PQ}| を最小とする点 \rm Q の座標を求めよ.また,このときの |\overrightarrow{\rm PQ}| を求めよ.

(2) (1)で求めた点 \rm Q に対して, \overrightarrow{\rm PQ}\overrightarrow{\rm OQ} のなす角が {90}^\circ であることを示せ.

(3) 点 \rm C|\overrightarrow{\rm OA}|=|\overrightarrow{\rm BC}| を満たしながら動くとする.(1)で求めた点 \rm Q と3点 \rm O,C,P を頂点とする四面体の体積が最大となる点 \rm C の座標と,そのときの四面体 \rm OCPQ の体積を求めよ.

2020.03.13記

[解答]

(1)(2) 平面y=\dfrac{1}{4}r\alphaとする。

 \rm{P} \left( \dfrac{1}{2}(a+r),\,\dfrac{1}{4}r,\,\dfrac{1}{2}c\right)\alpha上の点であり、\rm{\vec{OB}}\perp\alphaだから、\rm{Q}\left(0,\,\dfrac{1}{4}r,\,0\right)のとき、\rm|\vec{PQ}|は最小となり、このとき\rm\vec{OQ}\perp\vec{PQ}となる。

そして,\rm\vec{PQ}=-\dfrac{1}{2}\begin{pmatrix} a+r \\ 0 \\ c \\\end{pmatrix}だから\rm|\vec{PQ}|=\dfrac{1}{2}\sqrt{(a+r)^2+c^2}となる。

(3) \rm OA=BC より、\rm C{\rm R}\Bigl(0,\,\dfrac{1}{2}r,\,0\Bigr) 中心半径 \dfrac{\sqrt{3}}{2}r の円周上にあるから、\rm\vec{RC}=\begin{pmatrix} a\\ 0 \\ c \\\end{pmatrix}=\dfrac{\sqrt{3}r}{2}\begin{pmatrix} \cos\theta \\ 0 \\ \sin\theta \\\end{pmatrix}となる。ここで \rm{C}z 座標が正であることから、 0<\theta<\piである。

(高校受験で良く使う四面体の体積を求める公式を使って4面体 \rm OCPQ の体積を求める。)

\rm\vec{OS}=\dfrac{1}{2}\vec{OC}とおくと、\rm P,Q,Sy 座標が一定の平面 \alpha上にあるので、
V=\dfrac{1}{3}\cdot\triangle\rm{PQS}\cdot\rm OとCのy座標の差)
となる。さらに、PSはx軸に平行なので、\triangle\rm{PQS}=\dfrac{1}{2} PS\cdot\rm OとPのz座標の差)
となる。よって
V=\dfrac{1}{6}\cdot\rm PS \cdot\rm OとPのz座標の差)\cdot\rm OとCのy座標の差)
=\dfrac{1}{6}\cdot \dfrac{1}{2}r\cdot \dfrac{1}{2}c\cdot\dfrac{1}{2}r=\dfrac{r^2c}{48}=\dfrac{\sqrt{3}r^3\sin\theta}{96}
となる。

よって \theta=\dfrac{\pi}{2} のとき体積は最大値\dfrac{\sqrt{3}r^3}{96} をとる。

最大値を与える \rm C の座標は (0,\,\dfrac{1}{2}r,\,\dfrac{\sqrt{3}}{2}r) となる。

なお、行列式を使うと、体積を機械的に求めることができる。ただ、そのまま行列式を計算するのではなく、列変形をして行列を単純化してから計算しよう。

[大人の解答]

\rm OC の中点 \rm S を使って\rm\vec{RC}=2\vec{QS}を利用する。ついでに \rm OA の中点 \rm T を用意しておく。

4面体 \rm OCPQ の体積を V とすると、V=\dfrac{1}{6} |\rm{det}(\vec{OC},\vec{OP},\vec{OQ})| であるが,
\rm\vec{OC}=2\vec{OS}=2\vec{OQ}+2\vec{QS}
\rm\vec{OP}=\vec{OQ}+\vec{QS}+\vec{SP}=\vec{OQ}+\vec{QS}+\vec{OT}(∵\rm{\vec{SP}}=\vec{OT}
により,
V=\dfrac{1}{6} |\rm{det}(2\vec{QS},\vec{OT},\vec{OQ})|=\dfrac{1}{48} |\rm{det}(2\vec{QS},4\vec{OA},4\vec{OQ})|
=\dfrac{1}{48} |\rm{det}\begin{pmatrix} a & r & 0 \\ 0 & 0 & r \\ c & 0 & 0 \\\end{pmatrix}|=\dfrac{r^2c}{48}=\dfrac{\sqrt{3}r^3\sin\theta}{96}
となる。

行列式って便利だね。