[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2021年(令和3年)京都大学-数学(理系)[6]

[6]

次の各問に答えよ.

問1 n を2以上の整数とする.3^n - 2^n素数ならば n素数であることを示せ.

問2 a を1より大きい定数とする.微分可能な関数 f(x)f(a)=af(1) を満たすとき,曲線 y=f(x) の接線で原点 (0,0) を通るものが存在することを示せ.

2021.03.09記

[解答]

問1
n合成数 pq(2\leqq p\leqq q) であるとすると
3^n-2^n=(3-2) \Bigl(\displaystyle\sum_{i=0}^{p-1} 3^{p-1-i} 2^{i} \Bigr) \Bigl(\displaystyle\sum_{j=0}^{q-1} 3^{p(q-1-j)} 2^{pj} \Bigr)
となるが,
\displaystyle\sum_{i=0}^{p-1} 3^{p-1-i} 2^{i}\geqq 3+2=5
\displaystyle\sum_{j=0}^{q-1} 3^{p(q-1-j)} 2^{pj}\geqq 3^p+2^p\geqq 3^2+2^2=13
により,3^n-2^n合成数となるので,その対偶から題意は証明された.

問2(xの定義域が区間 [1,a] を含むことを前提としている)
y=f(x)x=t における接線 y=f'(t)(x-t)+f(t) が原点を通る必要十分条件f'(t)=\dfrac{f(t)}{t} をみたす実数 t が存在することである.
g(x)=\dfrac{f(x)}{x} とおくと,f(x)微分可能であるから g(x)微分可能であり,g'(x)=\dfrac{xf'(x)-f(x)}{x^2} が成立する.
g(a)-g(1)=\dfrac{f(a)-af(1)}{a}=0 であるから,Rolle の定理により g'(c)=\dfrac{cf'(c)-f(c)}{c^2}=0 なる c\in (1,a) が存在する.

よって f'(c)=\dfrac{f(c)}{c} が成立するので,y=f(x)x=c における接線は原点を通るので確かに存在する.