[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1957年(昭和32年)東京大学-数学

2020.10.26記

4科目のうち2科目を選択せよ

【解析I】

[1] \rm ABCD を1 辺の長さが1 の正方形とする.頂点 \rm A より発した光が辺 \rm BC にあたって反射し,以下次々に正方形の辺にあたって反射するものとする.最初,辺 \rm BC にあたる点を {\rm P}_1 とし,以下次々に辺にあたる点を {\rm P}_2{\rm P}_3,……とする.
{\rm BP}_1 =t とおき,{\rm P}_3 から辺 \rm AD\rm AB に至る距離をそれぞれ x,y とするとき,x+yt の関数とみなして,そのグラフをえがけ.ただし,光が正方形の頂点にあたる場合は除外する.

[図]

[2] 原点を通る直線が,3 点 \rm A(1,0)\rm B(0,1)\rm C\Bigl(\dfrac{3}{2},0\Bigr) を頂点とする三角形を,面積の等しい2 つの部分に分けるとき,その直線の勾配(傾き)を求めよ.

[3] 不等式
(x^2−y^2)\{\log_2(9−x^2−y^2)−3\}\gt 0
を満足する x,y を座標とする点{\rm P}(x,y) の存在する範囲を図示せよ.

【解析II】

[1] 時刻 t における2 点 {\rm P}(x,y),{\rm P}′(x′,y′) の座標が
\left\{\begin{array}{l}x=t \\ y=20t-4t^2\end{array}\right.\quad\left\{\begin{array}{l}x'=5-t \\ y'=h\end{array}\right.
という関係式によって与えられているとき,この2 点間の距離が最小となる時刻を求めよ.

[2] 水を満たした半径r の球状の容器の最下端に小さな穴をあける.水が流れ始めた時刻を 0 として時刻 0 から時刻 t までに,この穴を通って流出した水の量を f(t),時刻 t における穴から水面までの高さを y としたとき,f(t)導関数 f′(t)y との間に
f′(t)=\alpha\sqrt{y}\alphaは正の定数)
という関係があると仮定する(ただし,水面はつねに水平に保たれているものとする).水面の降下する速さが最小となるのは,y がどのような値をとるときであるか,また水が流れ始めてからこのときまでに要する時間を求めよ.

[3] 右の図のように基盤の目の形に並んでいる 20 個の点から,同一直線上にない 3 個の点を選んで,それらを頂点とする三角形を作る.全部でいくつの三角形ができるか.

[図]

【幾何】

[1] \triangle\rm ABC の辺 \rm BC の中点を \rm Mとする.\angle\rm BAM+\angle ACB が直角であるとき,\triangle\rm ABC はどのような形であるか.

[2] 頂点がそれぞれ 45^{\circ}60^{\circ}75^{\circ} で外接円の半径が r であるような三角形の面積を求めよ.

[3] 円 x^2+y^2 =1 と定点 (a,b) がある.この円周上の動点 \rm Q における接線上に点 \rm P をとり,\rm AP=2PQ ならしめるとき,点 \rm P の軌跡はいかなる図形であるか.また,とくに a=3,b=−2 の場合を図示せよ.

【一般数学】

[1] ある年に甲は年利率2.9% で80 万円を,乙は年利率5% で50 万円を,乙は年利率8% で30 万円を預金した.そのままにしておけば,甲,乙,丙三人の貯金高の順位は預け入れた時から経過した年数とともにどのように変わるか.ただし,利息の計算は1 年ごとの複利とする.必要があれば次の対数を用いよ.

\log_{10} 2=0.30103\log_{10} 3=0.47712\log_{10} 7=0.84510

[2] 右の図は直円錐台の投影図であって,その高さは \sqrt{7} ,上底面と下底面の直径はそれぞれ 6 および 12 である.また側面上の二点 \rm A,B の平面図はぞれぞれ a,b であり,立面図はそれぞれ a′,b′ である.側面上を通って二点 A,B を結ぶ曲線の長さの最小値を求めよ.ただし,曲線は上底面および下底面の周上を通ってもよい.

[図]

[3] 甲乙両人が次のようなゲームをする.まず机の上に n 個の碁石をおき,その中から甲乙交互に幾個かの碁石を取る.ただし,一回に取る碁石の個数は1 個または2 個または3 個とし,相手が取った個数と同数の碁石をその直後に取ることは許されない.このようにして机の上の碁石の数をへらしてゆくうちに,しまいには碁石を取ることができなくなる.最初に取れなくなったものを負けとする(たとえば,乙が3 個取って机の上の碁石がなくなれば甲の負けであり,乙が1 個取って1 個残しても甲の負けである).
n が4 の倍数であって,甲から取り始めるものとすれば,甲がどのような取り方をしても,乙は甲に勝つことができる.このことを証明せよ.

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