[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1956年(昭和31年)東京大学-数学(一般数学)[2]

2022.02.11記

[2] 甲が乙から A 円を月利 r で借り,かつ同時に丙に月利 sB 円を貸したとする.一月ごとの複利法によって,n 箇月後に甲が乙に支払うべき元利合計を P_n 円,甲が丙から受け取るべき元利合計を Q_n 円とし,また Q_n−P_n =D_n とする.このとき n には無関係で r,s のみによって定まる定数 a,b を適当に選べば
 D_{n+2} =aD_{n+1}+bDnn=1,2,3,…
が成り立つことを示し,かつ a,b を求めよ.ただし r \neq s とする.

2022.02.11記
隣接3項間漸化式の表現と特性方程式の関係を思い出そう。

[大人の解答]
P_n=A(1+r)^nQ_n=B(1+s)^n だから,D_n=Q_n−P_n は公比が1+r,1+s の2つの等比数列の線型結合でかけるので,D_n は隣接3項間漸化式
D_{n+2}=(2+r+s)D_{n+1}-(1+r)(1+s)D_n
をみたす.

普通に解くなら,隣接3項間漸化式の解き方の逆をする。

[解答]
P_n=A(1+r)^nQ_n=B(1+s)^n である。D_n=Q_n−P_n について,
D_{n+1}-(1+r)D_n=(B+Bs-A-Ar)Q_n
が成立するので,
\{D_{n+2}-(1+r)D_{n+1}\}-(1+s)\{D_{n+1}-(1+r)D_n\}=0
つまり,
D_{n+2}=(2+r+s)D_{n+1}-(1+r)(1+s)D_n
が成立する.

河合塾72年の解答はちょっとね。