[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1981年(昭和55年)東京大学-数学(理科)[4]

2023.08.22記

[4] 実数 \alpha \displaystyle \left( \mbox{ただし} 0 \leqq \alpha \lt  \dfrac{\pi}{2} \right) と,空間の点 \mbox{A}(1,1,0)\mbox{B}(1,-1,0)\mbox{C}(0,0,0) を与えて,つぎの4条件をみたす点 \mbox{P}(x,y,z) を考える.

(イ) z>0

(ロ) 2\mbox{P}\mbox{A} を通る直線と,\mbox{A} を通り z 軸と平行な直線のつくる角は\dfrac{\pi}{4}

(ハ) 2\mbox{P}\mbox{B}を通る直線と,\mbox{B}を通り z 軸と平行な直線のつくる角は\dfrac{\pi}{4}

(ニ) 2\mbox{P}\mbox{C} を通る直線と,\mbox{C} を通り z 軸と平行な直線のつくる角は \alpha

このような点 \mbox{P} の個数を求めよ.また,\mbox{P} が1個以上存在するとき,それぞれの場合について,z の値を,\alpha を用いて表せ.

2020.11.25記
円錐の方程式.

[解答]
(ロ) は頂点が \rm A の円錐面,(ハ) は頂点が \rm B の円錐面で xz 平面について対称だから,その交線は xz 平面上の双曲線 (x-1)^2-z^2=-1(漸近線は z=\pm(x-1))上にある.これと(ニ)の円錐面の xz 平面による切り口である2直線 x=\pm (\tan\alpha)z との z\gt 0 における交点の個数を求めれば良い.つまり

z^2=(x-1)^2+1(\tan\alpha)z=xの交点数と
z^2=(x-1)^2+1-(\tan\alpha)z=xの交点数を考えれば良い.

双曲線の漸近線の傾き \tan\alpha=1(\tan\alpha)z=x が双曲線に接する \tan\alpha=\sqrt{2} で(代入した2次方程式が1次方程式になる場合と根号内が0になる場合とで)場合分けして

\tan\alpha=0 のとき、z=\sqrt{2} の1個
0\lt \tan\alpha\lt 1のとき、z=\dfrac{-\tan\alpha-\sqrt{2-\tan^2\alpha}}{\tan^2\alpha-1}の2個
\tan\alpha=1 のとき、z=1 の1個
1\lt \tan\alpha=\sqrt{2} のとき、z=\dfrac{\tan\alpha\pm\sqrt{2-\tan^2\alpha}}{\tan^2\alpha-1}の2個
\tan\alpha=\sqrt{2} のとき、z=\sqrt{2} の1個
\tan\alpha\gt \sqrt{2} のとき、0個

となる.

円錐の方程式を真面目に考えると次のようになる.

頂点 \rm A,軸の方向ベクトルが単位ベクトル \vec{n},軸とのなす角が \theta である円錐面上の点 \rm P|\vec{\rm AP}\cdot\vec{n}|=|\vec{\rm AP}| \, |\cos\theta| となる(2つの円錐のうち一方を選ぶときは絶対値が外れる).

(イ) z\gt 0

(ロ) z^2=\dfrac{1}{2}\{(x-1)^2+(y-1)^2+z^2\} から (x-1)^2+(y-1)^2=z^2
(公式を使わなくても z 軸を軸とする円錐面は簡単に導ける)

(ハ) (x-1)^2+(y+1)^2=z^2

(ニ) z^2=\cos^2 \alpha (x^2+y^2+z^2) から x^2+y^2=(\tan^2\alpha)z^2

の4つを同時にみたす点の個数を求めれば良い.

(ロ)(ハ) から (x-1)^2+1=z^2 かつ y=0 となるので,
(ニ) から x=\pm (\tan\alpha)z となるので

(イ)〜(ニ)は
x=\pm(\tan\alpha)z,y=0 かつ
\{\pm(\tan\alpha)z-1\}^2+1=z^2\Leftrightarrow (\tan^2\alpha-1)z^2\pm 2(\tan\alpha)z+2=0
かつz\gt 0
と同値になる.