[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1923年(大正12年)東京帝國大學理學部物理科-數學[2]

[2] 一ツノ定點ニ至ル距離ト一ツノ定直線ニ至ル距離トノ比ガ一定ナル點ノ軌跡ヲ索メヨ.

2022.08.15記

[解答]
{\rm P}(x,y)から定点 {\rm A}(e,0) への距離と定直線 x=-1 への距離の比が e:1(e\gt 0)となる点の軌跡を求める.

条件は e|x+1|=\sqrt{(x-e)^2+y^2} であり,両辺正より2乗しても同値であるから,求める軌跡は
(1-e^2)x^2-2(e^2+e)x+y^2=0
となる.この曲線は

(i) 0\lt e\lt 1 のとき
\left(x-\dfrac{e^2+e}{1-e^2}\right)^2+\dfrac{y^2}{(\sqrt{1-e^2})^2}=\left(\dfrac{e^2+e}{1-e^2}\right)^2
\left(\dfrac{e^2+e}{1-e^2}\right)^2\gt 0 だから楕円

(ii) e=1 のとき y=4x だから放物線

(iii) e\gt 1 のとき
\left(x+\dfrac{e^2+e}{e^2-1}\right)^2-\dfrac{y^2}{(\sqrt{e^2-1})^2}=\left(\dfrac{e^2+e}{e^2-1}\right)^2
\left(\dfrac{e^2+e}{1-e^2}\right)^2\gt 0 だから双曲線

である.